HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

* 詩への懸け橋 : ドイツ訳詩選より

* 大都会 :リリエンクローン 

都会の大海原; 目の前を 慌ただしくすぎゆく人 また人・・ 一瞥を投げ と もう過ぎてゆく どこからかピアノの響き 虚無の大海原; 目の前に 滴るしずく一滴 また一滴 あの柩は誰のもの 一瞥を投げ と もう過ぎてゆく どこからかピアノの響き 都会の大海原; 葬…

* 山と雲と湖との平和 : ゲオルゲより

さらに色を変えた湖は 雲の上なる碧空を鮮やかに映す もう妖精の姿はなく 薄緑から青に 深紅から黄金に融け合ひ 淡い光が反射されて鏡となり煌めく: 傍らでは 巨大な陰 湖面を見据ゑ 波打つ湖面に 蒼白き光を受け 左は昏くとも 右は彩に煌めき 辺りは閑静に…

* 「祝福」:デーメル 「女と世界」より

ごらん 空が青く 燕が早や 飛ぶ魚のよう 濡れた白樺のうえ・・なのに 何故 きみは泣きたいの ?... きのう きみは失意で 剣に魂が貫かれていたね あの聖女のように でもきょう ぼくは歓喜し 両腕を高らかに拡げる すべての聖徒に倣ひ・・ さあ マリアよおいで…

* 鐘の音 :デーメル「女と世界」より

そして日暮れ一息したくなったら 鐘の音に 耳を澄ましてごらん あちこち小屋から立ち上る煙 こずえを温かく包み込み さあ お出でと云っている やがて蕾に蔽われた木の下 木霊と そよぎが囁いている: 春だ 出ておいで草原に 父と子が なんの屈託もなく 毬投げ…

* ディオティーマよ!...何処に?・: ヘルダーリン「ヒューペリオン」より

1770年生まれのヘルダーリンは、シラーとの交友もあったドイツの純粋な魂の詩人で、73年の全生涯の後半生、30数年を精神の闇に暮らした悲痛な詩人でもあったのだが、彼の評価は高い。 その彼の唯一完成した散文作品に、手紙形式で書かれた「ヒューペリオン」…

*奇(くす)しき 薔薇 :

バラの香りの 愛(いと)ほしく 息吹の 真っ赤に 燃ゑしとき 噫 愛しき バラの香よ ! そは 聖母マリアの 御慈悲により バラは 奇しき薔薇となり されど タンポポの 花咲き 終わるや そが冠毛は 風に舞ひ 四散して 遠く 近くに 着きしなり されど そが 繰り返し…

*比喩としての銀杏の葉:「西東詩集」より

83年という長い星霜の、その大半を休むことなく精力的に活動しつづけたゲーテだが、ゲーテの晩年(65歳)の詩に、銀杏をうたった一篇がある。 約250篇からなる「西東詩集」West-ostlicher Divan のなかの一篇で、こんな詩である。 東方の国からはるばる わが庭…

*意識的な散文 :《西東詩集》より ⑥

ゲーテの晩年になった「西東詩集」は、詩的様式が散文に著しく近づいていった。そこには体験内実と表示される意識との間に、<距離>があったからである。故に、そこでは半ば抒情的に教訓が語られるという表現形式が多々見られるのである。言い換えるならば、…

*第二の青春 マリアンネ:「西東詩集」より ⑤

ゲーテ晩年になった「西東詩集」の萌芽として、新たな恋愛対象として出逢ったマリアンネ・フォン・ヴィレマーがいる。このマリアンネはズライカとして「西東詩集」に重要な形姿として現われてくる。つまり、そこには最後の恋愛体験としてのマリアンネ体験に…

*「昇天の憧れ」 :「西東詩集」 より④

ペルシア的東洋の中に崇拝者たるハーフィスを見たゲーテは、ハーフィスに懐かしさを感じる。 誰にも告げるな賢者のほかは 衆愚はすぐに嘲笑ふから わたしは讃える その生きものを 炎に焼かれ 死を願ふものを つくり つくられる 涼しい夜の愛のいとなみ その…

*「ヘジラ」:「西東詩集」 より ③

「西東詩集」はゲーテ晩年になった作だが、東洋はまさに族長的な世界の地であった。そして、それは瞑想的な老年ゲーテの気分に適合した。そのような現実性から隔たった避難所としての東洋にゲーテは親縁性を見たのであった。 巻頭の詩、ヘジラHegire(移住)は…

*異国の詩人、ハーフィス : 「西東詩集」 より ②

さて、「西東詩集」の理解には次の三つの視点からみてみるといい。 その①はゲーテが遠い場所、東洋に目を向けたのは何故か、そして異国の詩人ハーフィス(1320-1389)に模範を執ったのは何故かということ。 その➁はいくつかの書からなるこの詩集の内実とその区…

*「西東詩集」 ゲーテ 覚え書き

「西東詩集」West-Ostlicher Divanはゲーテ晩年(65-66歳)の作である。1749年生誕のゲーテは1832年に物故するまで、83年という星霜を生き抜き、かつ、その大半を休むことなく精力的に活動しつづけた文豪・詩人であり、その間にはワイマールという小公国で宰相…

*「トリスタンとイゾルデ」: プラーテン 

* アラビアやペルシアのガゼル詩形の形式美を駆使して、ドイツ詩に新たな地平を切り開いたプラーテンのロマンティックな詩から。 --因みに、プラーテンは晩年のゲーテとも多少の親交のあった形式美に優れた詩人である。** うつくしき魅力にとりつかれし者は …