HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

* 詩への懸け橋 :散文選 より

* トルストイの「アンナ・カレーニナ」: 第一部 

「幸福な家庭は、みな似通っているが、不幸な家庭は不幸な様相はさまざまである。」 「アンナ・カレーニナ」のこの冒頭部は、よく知られた一節だが、この長編の第一部の11には、ハイネの詩の一節も挿入されている。: 抑えがたい この世の欲情に打ち勝てば ど…

* ヘッセ「ペーター・カーメンツィント」: 青春彷徨 第七章から 

高き空に浮かぶ 白雲のごと 美わしくも遠きなるかな エリーザベトよ !.. 白雲は万里をさすらひ そを汝れは見ずとも 今宵も闇夜なれば 夢に見つらん 嗚 輝ける汝がすがた!... 白雲の行方を恋ふるがごと 憧がれ慕ふ... 甘く汝れを想ひえがきし郷愁!.. *** 以前…

*「若い二人」Die Beiden: ホフマンスタール

「美しき惑ひの年」;Das Jahr der schonen Tauschungen はカロッサ;Carossaの医師を目指して学ぶ学生時代を扱った短篇で、こんな詩も挿入されており、前に訳したことがあり、親しみある詩である。: 「詩だよ!.. まだ印刷されてない。 詩人の自筆だよ」 フー…

* 美貌と才知 :「赤と黒」より

彼女はアンリ三世やバッソンピエール時代のフランスにあったような英雄的な感情にしか、恋愛という名をあたえなかった。...... * 因みに、バッソンピエール(1579-1646)は、元帥にして有名な外交官だが、ホフマンスタールの短編「バッソンピエール奇譚」(アバ…

* 滑稽歌劇 :「赤と黒」 より

'おお 春四月 定かならぬ輝き 恋愛も これに似て 陽の輝きに あふるるも やがて次第に 雲はすべて奪い去る ' シェイクスピア 第一部第十九章 導入部より もし革命が勃発したら、どうしてジュリアン・ソレルがロラン(フランス革命時代の政治家)の役割を演じな…

* たくらみと恋 : Kabale und Liebe

貴族で宰相の息子フェルディナントと市民の娘ルイーゼの悲恋を描いて多大の成功を収めた戯曲に「たくらみと恋」があるが、これはゲーテと並び、ドイツ古典主義を代表する詩人であり戯曲家シラーの悲劇作品で、シラーの言葉にこんな一節がある。曰く: 「とり…

* ホラティウスの言葉 より

ローマの英雄ホラティウスの言葉に、こんなのがある。: nil mirari.....その意味は、決して、心を動かすことなかれ、というのだが、これはドイツ語では、Sei gefuhllos,となろうか。 因みに、これはゲーテの詩の一節に見えることばだが、この後にはこんな風…

* 老子と「道徳経」 承前 :ブレヒト  

肩越しに 老賢者は 男に目を向けた 男は 破れた衣を つづって着 履物は 履いているでもなく 額には 太い皺が 走り みるからに 勝利の女神とは 無縁の様子だった それなのに 見上げたものだ-- 老賢者は つぶやくと 声高に云った : 求められたからには 応ずる…

* 或る税関番と賢者・老子 : ブレヒト 

彼は 70になり 肉体に 衰えを感じていた すると 安らぎを求め 老賢者の 心が つよく動いた 天なる下では 仁慈も廃れ 邪悪が 満ち始めていた 彼は こころを 決めるや 入用なものを 荷造りした 毎晩 紫煙を燻らす 煙管や 愛読書の 一巻の書物は なかでも はず…

* 愛犬ターキーとタルティーニ : メーリケ  愛の書簡集 より

このポーズをとったターキーを見ていると、よく声を出して笑ってしまいます。朝方、目覚めると声をかけてやるのですが、それはあのイタリアの作曲家、タルティーニの「悪魔のトリル」を聞いている際に、その誇張した演奏の特徴を呟いているときと変わらない…

*ドイツリート と ヴォルフ と メーリケ ④: メーリケ解明

*1875年のメーリケの死後、彼の才能を理解するひとは、ほんの一部にすぎなかったが、19世紀末になると、次第にシュヴァーベン・アレマン地方で評価されはじめ、その後、H.ヴォルフWolf/によってドイツリートと して作曲されると広く広まり、 メーリケの評価…

*「プラハへの旅路のモーツァルト」: メーリケ解明 3.

1834年、30歳の時、ヴァインベルク近郊の牧師になったメーリケは、母や姉のクララを呼び寄せ、そこでの9年間を生涯で最も幸せに暮らしたが、1841年に母が亡くなると、彼自身も病気がちになるや、40代で年金生活者となっていた。 その後、1850年、46歳の時、…

* 抒情詩に 抜きんでていた詩人 : メーリケ解明  2.

* ゲーテ以降で、その多様性と独創性で、メーリケほど抒情詩において抜きんでた詩人は、そう多くは見当たらないのだが、彼の生涯は決して、耀いていたのではなかった。寧ろ、憂慮に富んだものであったのだ。--zB./弟の死、姉の衰弱、別の弟カールの政治活動…

*メーリケ解明 :愛の書簡集 より

*1875年6月4日、シュトゥットガルトで亡くなったメーリケ(享年71歳)は、それより10年前に、すでに詩作は衰退していたが、最も旺盛だったのは、1837年から38年にかけて(33歳から34歳)で、38年には150篇の詩を書き、一冊に纏(まと)めていた。 彼の死の20年前に…

* 棲家は小さくとも、安らぎは大きい パルヴァ・ドームス、マグナム・クイエス

W.ベルゲングリューン短篇「古都奇譚」 より: さあ、みなさま、わたしの傍らにおかけください。ボトルはテーブルに用意できております。秋の陽はすでに沈み夕暮れて、外では鴉がカァー・カァーと鳴きさけび、木枯らしもピューピューと吹き荒(すさ)んでおりま…