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HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

E.ランゲッサー詩 & 短編選

*バラード Ⅱ 「義足の老人」 ランゲッサーの詩 拙訳から

何枚もの 薄板を 抱えて 老司祭が 歩いてきた 見れば 片方の 眼からは 血が 滲み 泪も 混じり 時折り 拭う 神よ 老司祭も また ダッハウの 犠牲者なのでしょうか ?... 老司祭は 手廻しオルガンを 携え 総理官邸に 向かい そこで モーセの十戒を しずかに 説…

*バラード Ⅰ  「マゴグとマゴグ」 ランゲッサーの詩 拙訳から

総理官邸には 防空壕があった その円天井は しかし 重荷に 耐えかねていた 噫 すべてが去り 終末は 来たのだ これで 肩の荷が 降りたという 認識 !... あの血なまぐさい 粥状の液が 流されることは ないのだ だが その刹那 甲高い声が 響き渡ってきた 《 も…

*ブナの森?..ダッハウ?..それとも、 ランゲッサー短篇 拙訳から 

「それにしても、あそこの老紳士は何を話しているのだろう。・・誰かが処刑されたとか、三度の鞭で首が飛んだとか・・」 ベルリンを貫流しているシュプレー川にあるトンネルは、占領された折り、一部の狂信者により、2,3週間ほど前、水浸しにされてしまった…

*ウクライナの女 リーディア ランゲッサー短篇選 拙訳より 

「ねえ、あなた、あのヒラメのこと、まだ覚えていらして?..」と私は訊ねてみたが、いいえ、とロベルタは云うのだった。 「でも、忘れるはずないわ。大きなヒラメ焼いたでしょう?..」こう云ったにも拘らず、ロベルタは、覚えていないの、と繰り返すだけであっ…

*カッコウと負傷帰還兵  ランゲッサー短篇 から

カッコウが啼いている。その啼き声は、辺りに響きわたり木霊している。すると、その啼き声に目ざめた夫は、かれは負傷帰還兵なのであったが、手足や体を思いきりの伸ばすと、心地よさそうに呻き声をあげた。そして傍らの妻の手をつかもうとした。だが、妻は…

* 御復活祭前の第五旬節の日曜日 ランゲッサー

Sonntag Quinqua-gesima 人は 同朋(はらから) ともに生き 傷(いた)みも 情熱も ともに 分かちあひ さながら 灼熱の 地獄のなかで 泪を流すは 熱く たゆまず こころを ひとつにしようと 願ひしからか 噫 されど 悲しきかな!.. 目の前は 闇のように 壁に閉ざさ…

*御復活前の第六旬節の日曜日   ランゲッサー詩 から

いまだ 神は お隠れになり 野の木陰で ヤハヴェの 呼ぶ声をまえに 民は 呻吟していた 民は 疎(うと)まれ イバラの道を 通り抜けゆくばかり おお 神よ 仔羊なる民は 主の下にて つき従うもの 穏やかな足どりで 身を屈(かが)め ひとつになり ともに 世と交わり…

*御復活前の七旬節の日曜日  ランゲッサー

人類は ふかきこころを 抱いて 待ち望む すべての 石からさえ 血のにじむ 孤独のふちの 悲しみから そが 肉体は 樹木や 動物にも 朋友とならんことを 望み 溢るる愁ひの 呪縛から みずからを 解き放つ 噫 愁ひに満ちた 苦悩よ !.. 清水や 棕櫚の樹や 繁みに…

*初めての聖体拝領の日に 放送劇風に

戦時下の、空はどんよりと低く灰色がかっていて、今にも雪が舞ってきそうな寒い。 アンジェーラは7歳の女の子。 ママ : 今日はあなた一人ではないのよ。多くの方たちが お集りになるのよ。ローソクを持った人が行ったり来たするでしょうし、誰もそこでは目配…