HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*ニーチェと学者詩人:Philologen Poeten

学問と芸術とに心砕いた哲学者 ニーチェ:Nietzsche 彼は「偶像の黄昏」で ブルクハルトを尊敬すべき友人と述べ 彼の「イタリア ルネッサンス」に 学問と芸術の美しい融和を みとめていた ルネッサンスの詩人は また学者でもあった: 彼らは古典古代の再発見を…

*::スタンダール より

'おお 春! 四月は 定かならぬ輝きに満ち!.. 恋愛も 陽の輝きに あふるる が やがて 雲は すべてを覆い隠しおり シェイクスピア -- 「赤と黒」第一部 第十九章 導入部より *

* プルースト より ⑵

17世紀オランダの画家フェルメールについてオデットはスワンに訊ねた。 この画家は女性のために苦しんだことがあるのかしら、女性からインスピレーションを与えられたことがあって?... スワンが、実は、わかっていないというと、彼女はフェルメールに興味を…

* 「ファウスト」真夜中 より

Faust: Entferne dich : さっさと 立ち去ることだな 用はない: Die Sorge: Ich bin am rechten Ort: いいえ わたしは居させてもらうわ ファウスト: 始めは 怒りが込み上げてきたが、やがて、 気を静めて: ならば 呪文は 口にせぬことだ 憂い: わたしの声は …

*ダンテ「神曲」:天国篇 第11歌 より

おお 人間! その純(おぞ)ましさ: - ある者は法学を ある者は医術を追いもとめ - ある者は司祭にならんとす また ある者は詐術に手を伸ばし - はたまた 快楽に酔い 懶惰(らんだ)を貪( むさぼ)る輩もいる・・- わたしは だが それらの塵労からは解かれ ベアト…

* 激しい恋愛:「赤と黒」より

バッソンピエール時代のフランスの英雄的な感情に、恋愛をみてとっていた彼女。...: バッソンピエール(1579-1646)は、元帥にして外交官、ホフマンスタールの短編「バッソンピエール奇譚」でも知られているが、突然、マチルドは上気したのだ。 あたし恋をして…

*プルーストより

ピアノの鍵盤では愛情・情熱・勇気・平静といったキーが他のキーと異なって、作曲家の手にかかると目覚めさせてくれる。 そのように、作曲家ヴァンの楽節には、充実した内実が感ぜられた。 スワンは、いつしか、「クレーヴの奥方」が憶い出していた。 プルー…

*アヤックスの盾には絡みつく蛇が:

* 8909- 9126 : ・ この箇所はフォルキアスの台詞、「薄曇りの朝、輝きまばゆく真昼の太陽よ!.」以下、第三幕その1の最後までの場面であるが、それまでのヤンブスのトリメーター、短長・抑揚格の3音格詩がトロケーウスの長短・揚抑格のテトゥラメーター、即…

*トロヤの娘の合唱隊とフォルキアスとの悪口合戦:

* 8810~ 8825 : この箇所は、詩句問答Stichomytie 、隔行・対話形式で書かれ、トロヤの娘たちによる合唱の女たちと、フォルキアスの間で交わされる華々しい口争いで、売り言葉に買い言葉。互いに侮蔑と誹謗の言葉を投げ合う悪口合戦。 * 8810 ~: ・合唱を…

* 手でれれなければ・・:ゲーテ「ファウスト」第二部 4917~より

メフィストフェレス: Mephistopheles : なるほど さすが学者ですな 手で触れなければ 何マイルも 遠くのものと 変わりない 握らなければ 無きも同然 数えてみなければ 眉唾(まゆつば)ものというのですな・・ 秤にかけてみなければ 重さもなく お金も みずか…

*マルロー:「王道」より

「いや違う」とぺルケンは云った。「あっちの女だ」 《サディストかな、この人》とクロードは思った。噂によると、ペルケンはシャム政府の依頼で未帰属部族のもとに派遣されたとか、ビルマ東部のS.高原地方やラオス辺境地方の統合にのりだしたとか、バンコク…

*エルフェ(妖精)の歌; メーリケ

夜ふけに 村の夜番が叫んだ--: 11時(エルフェ)だ!.. すると 森で寝ていた小妖精は 早合点 すぐに 共鳴した :-- あたしがエルフェよ!.... 誰かが じぶんの名を 呼んだと思ったのだ はて 鶯か それとも ジルベリットか 妖精が 眠い目を こすりつつ 夜道を とぼ…

*「シュレミールの不思議な物語」から

ドイツ人にもなれきれず、故郷フランスも異国と感じていた詩人の話。彼はある時、新聞を手にし コッツェブーを隊長とする学術探検隊が近々、北極をめざし組織されたというニュースを目にする。すると、コッツェブーの斡旋で、かねてからの願望が思いもかけず…

* 鴎外: 「青年」より

「言われたことぐらい、小説で書いている ・・」 「批評家は 先生のものは真の告白だ。敬服に値いすると。アウグスティヌスやルソーRousseauのようだという。 「そうかね、有難い。批評など読まないが、アウグスティヌスは 若い時に乱行して悔悛してキリスト…

*ジッド「贋金つかい」: -より

劇文学で、ラシーヌの父と子のやり取りほど 感心させられるものはない と作家エドゥアールは云った。 いいかね。芸術は 要するに、普遍的なものなのだよ。・つまり、個別を書きながら 普遍を表現している。 ちょっと 喫煙 よろしいかな。 「どうぞ、遠慮なさ…

*古都奇譚:- 古都に眠る魂の物語: ベルゲングリューンより

W.ベルゲングリューン短篇「古都奇譚」 冒頭部 より: さあ、みなさま、わたしの傍らにおかけください。 ボトルはテーブルに用意できております。秋の陽はすでに沈み夕暮れて、外では鴉が鳴きさけび木枯らしも吹き荒(すさ)んでおります。 ところで、地下に眠…

*「故郷の博物館」:レンツ: より

年代記風に書かれた長編「故郷の博物館」Heimart-Museum: これは追放された農民を例に、故郷ハイマートという概念の問題提起をしている。:即ち、 叔父から小さな故郷の博物館を受け継いだロガーラは これをナチスから守り、幸運にも在庫品の一部をも護った。…

* ムシュクの「バイユーン; 同盟団」:

「バイユーン、或いは、同盟団」:ムシュク この長編はムシュク第五作目で、こんな内容である。: 或る長老の作家 リュッターは七人のエキスパート代表団と 3週間の予定で中国に旅立つ。 さて2週間後、代表団のリーダーのS.は激高して 皆から嫌われ毒殺されて…

*御復活祭前の第五旬節の日曜日に: ランゲッサーの詩 より

Sonntag Quinqua-gesima : 人は 同朋(はらから) ともに生き 傷(いた)みも情熱も分かちあひ さながら 灼熱の地獄のなか 泪して 熱く たゆまず こころを ひとつにと願ふ されど 悲しきかな!.. 鷲のように飛翔しても 憧憬は 世の園にとどまり・・ 神から離れ 流…

*御復活前の七旬節の日曜日に:ランゲッサー

人類は ふかきこころで 待ち望む: 石からさえ 血のにじむ 孤独の悲しみから 肉体は 樹木や動物にも 朋友と ならんことを望み 溢るる 愁ひの呪縛から 解き放たれたきと ))) おお 愁ひに満ちた 苦悩よ !.. 清水や棕櫚の樹や 繁みに向ひ 愛のエクスタシーのなか…

* 或る転轍手の冒険 : アルトマン より

U.P.鉄道の ポイント切り替え人の責務は おおきかった。人命に対して重い責任が課せられていたからに他ならない。 彼は いつも、一冊の愛読書を携えていたが、その習慣は 10年来、変わってはいなかった。 そして、また、読むのは 77ページまでで、その先は …

*行けよ、ミサは終われり: G.グラース「ブリキの太鼓」より ⑶

三人の少年は 祈禱から始めた。: 赤と白のミサ衣を着たレンヴァントの兄は 香炉を持ち、弟は祭鈴を持っていた。 代理司祭のいでたちをしたコーレンクラウが ミサに必要な品を全部持ってきた。司祭の衣はだぶだふだったが、なかなか 巧く真似ていた。最初は皮…

* 老子と「道徳経」:ブレヒト より Ⅱ- 1 (*19-)

肩越しに 目を向けた老賢者の眼に映ったのは 衣は破れ 額には皺が走り みるからに 寂れた風袋の男 : 老賢者は その男に云った :求められたからには 応じよう 牛から降りると それから 七日間 口述筆記 その間 税関番は 三度の食事を用意し 質素ながら もてな…

* : ブレヒト 「道徳経」より:Ⅱ-2 (*18)

古稀 70になり 衰えを感じた老子は 安らぎを求め 旅立つ : 天なる下では 仁慈も廃れ 邪悪に満ちていたからだ こころ決めるや 荷造りし 毎晩 紫煙を燻らす煙管 愛読書の一巻も 忘れなかった >> 国境の山中へ辿りつき 振り返えり 廣い高原の景色に目を向け 脳…

*ブリキの太鼓 : .グラスより ⑵

・ぼくは 誕生日以降、1センチも生長しなかった。3歳児のままだ。が、賢さは3倍になった。 背は低いが 大人を凌駕していた。 そのころ 政治家にはならない、と決めていた。小さな人と大きな人、ダヴィデとゴリアテ、一寸法師と巨人、いつまでも3歳児であり小…

*ブリキの太鼓 : .グラスより

・ぼくは太鼓にしがみつき 誕生日以降、1センチも生長しなかった。3歳児のままだ。が、賢さは3倍になった。 背は低いが 大人を凌駕していた。 そのころ 政治家にはならない、と決めていた。現状でいいと。小さな人と大きな人、小さな海峡と大きな海峡、ダヴ…

* おしなべて 太陽が純金と・:「ファウスト」第二部より

・4728~5064 : この箇所は対話形式の韻文で書かれ、4-5の揚音・強音が自由に、あるいは、相互に繰り返されていく。 4955~ : 皇帝の 玉座の間: ・天文博士:Astrolog: メフィストフェレスも小声で同じ言葉を繰り返している。: おしなべて 太陽が 純金と いた…

*クララの説教 : ドイツバロック詩より

クララは1644年生まれ。わが国でいえば江戸時代の前期、近世文学期にあたり、芭蕉が生まれた年と重なる。また、「好色一代男」の戯作者・西鶴はそれより2年前に生まれているが、それはともかく、クララはバイエルンやウイーンで説教をおこない、当時はペスト…

*「プラハへの旅路のモーツァルト」:  

1834年30歳の時、牧師になった詩人メーリケ。 彼は母を呼び寄せ9年間を暮らす。が、1841年に母が亡くなると病気がちに、40代で年金生活者となった。 その後、46歳の時、シュトゥットガルトの女子高教師なると、12歳年下の妹の友人と結婚、二人の娘を授かった…

*プロメテウスの寓話: ホフマン短篇 より

プロメテウスの寓話 というものがある。 創造主をもくろんで天の火を盗み、命あるものを生み出そうとした あのプロメテウスの話で、驕慢にも神を気どったプロメテウスは どうなったか。-- 永遠の劫罰を受けたのである。 つまり、神に成りあがらんとした野望…