HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

* 「砂時計 」   ハイネ  

 

わたしの眼に 砂時計の砂が わずかづつ 

    落ちていくのが みえる

妻よ 天使のように 愛しいひとよ

死が おまえから わたしを 引き裂いていく

妻よ 死が お前の腕から わたしを 引き裂いていく

抵抗しても 徒労に帰すだろう 死は この肉体から

わが魂まで 引き裂いていくのだ わが魂は 

    死の恐怖で  死にたい思いだ 

死は 棲み慣れた 家から わが魂を 追い出す

わが魂は 喜んで 棲みついていたというのに すると

魂は 震えおののき 落ち着きまで 失うのだ

 どこへ 行ったらいいのかと

魂は これでは 篩(ふるい)のなかで もがく 蚤のようだ

いかに 抵抗しても 如何に もがいても 如何に 

      のたくり 回っても

わたしには どうすることもできない

男と女 魂と肉体の この互いの 一対は 畢竟 

別れが 定め・・運命に違いない

               訳 : 夏目  政廣

Heinrich Heine : Ich seh im Stundenglase schon...

    Samtliche Gedichte in zeitlicher Folge  

                Insel Vlg.  2007    S. 917