HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*ヘレナとファウストと悪魔メフィストの闖入・ ゲーテ「ファウスト」第二部より

  *第二部・第三幕 ⑵ から

城の中庭でのファウストと絶世の美女ヘレナとの愛の告白の場面(9377~84)

ここでは毬を投げ、毬を受けるように、言葉と意味を交わしながら、心が結ばれてゆく場面     

ヘレナ:   ねえ、どうすれば あのように美しく お話しできるのから。

ファウスト:    それは ごくやさしいこと。つまり 言葉は こころから出すので。そして 恋しい憧れが芽生えたら、ふと顧みて問うのです。

ヘレナ:    楽しみは 誰と共に  享けるのかと・・

 

*そして、この仲睦まじき二人を、例の合唱(Chor)が讃えるのだ。 

(((あのふたりは いつしか身を寄せ合い、立派な玉座の間で 肩に肩を寄せ 膝と膝をつき合わせ、手に手をとり もたれ合い坐していらっしゃるのね。)))

        

* ところが、この幸福な一瞬を俄かに、曇らせるのが云わずと知れた、あの悪魔メィストフェレスの闖入(ちんにゅう)である。 (9491--34行)   

恋の伊呂波の 手習いも 結構。それに戯れつつ 

 色恋の難しい 詮議を たのしく過ごすのもいいが、はたまた 仲睦まじく 暢気 気ままに 色恋に明け暮れるのも よしとするが もはや そんなときでもあるまいに。あの遠来の 鳴り響く 雷の轟きに 気づかぬはずも あるまい。 それ 高らかに鳴り渡る ラッパの響きが 聞こえてくるわ。破滅は遠からず 迫っているのですぞ。激戦の準備は 万端ですかな。絶世の美女に 捧げたツケは 重いのですぞ。いまや 四面楚歌となっては ダイフォスさながら 切り刻まれるが 必定ですからな。

        Goethe  Sämtliche Werke 18-1    Letztes Jahre   1827-32....

              Hanser   Ausgabe   1997..

                    Kommentar.Faust Ⅱ 3 Akt     Metrik  韻律学