HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*初めての聖体拝領の日に 放送劇風に

 

戦時下の、空はどんよりと低く灰色がかっていて、今にも雪が舞ってきそうな寒い。

 アンジェーラは7歳の女の子。   

 ママ : 今日はあなた一人ではないのよ。多くの方たちが お集りになるのよ。ローソクを持った人が行ったり来たするでしょうし、誰もそこでは目配りしてくれてはいなくってよ。ですから、列から外れたりしてミサをだいなしに しないで頂戴。

 アンジェーラ: そうしたら、ケーキは食べられなくなってしまうの?... 

*陽の光は教会内にまで射してきていて、後陣はその光を眩しく反射させている。このミサには、年配の紳士やその夫人たち、小中学生や軍人の出入りがつづいている。人の数はだんだんと増してきて、 込み合ってきている。その中で、アンジェーラは人々の注目を浴びている。

・ ねえ、ちょっと、ご覧なさいな。(特務曹長夫人が夫に 体を 寄せて囁く。)あの子もきっと、一刻も早くと、ミサに連れてこられた 一人なのね。そうよ、そうに決まっているわ。だって、私たちは明日も、明日の夜も生きていられるかなんて、分からないんですものね。   

ママ: アンジェーラ、お耳は?...嬉しい?..って神父さまがお聞きになってるでしょう。

 アンジェーラ:      ええ、嬉しいわ。      ママ:       ほんとうに?...

 アンジェーラ:      もちろんよ。        ママ: じゃあ、なにがいちばん?....

 アンジェーラ: 全部よ。そういえば、きょう、空襲警報がないってこともね。(彼女はおとなっぽく答える。)   

 *これはE.ランゲッサーの短篇「初めての聖体拝領の日に」の一部を放送劇風Hörspielに訳出してみたものである