HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*「饅頭男」が誹謗と中傷の弁護をする : W.ラーベ抄 ⑪

 

       私はこうして、25 歳で発表した処女作「雀横丁年代記」以来、二十代には19篇、三十代 には17篇、四十代では16篇、五十代では10篇と発表してきたのだが、中でも、60歳の時に書き上げた「シュトップフクーヘン」(饅頭男)*44は、ある意味でその頂点に達しえた作品と思えてくる。いや、そればかりか、いまなお振り返りみても、この作品に最も愛着を覚えているのだ。

  この作品の主人公の名はハインリッヒ・シャウマンというのだが、彼はその旺盛な食欲と、ものぐさ(*無精なこと)のために、<饅頭男>と綽名(あだな)されている奇人だが、その彼が、あまり人付き合いのよくない農夫クヴァカッツが、或る殺人犯として嫌疑をかけられると、彼への誹謗と中傷にたいし、弁護の手を差し出してくれたため、信頼を得た。饅頭男・シャウマンはその後、これが機縁でクヴァカッツの娘・ヴァレンティンと結婚し、最後には、真の犯人は誰か解明していくのだが、重要だったのは、表面上での犯罪事件にあったのではなかった。そうではなく、大切なのは、そこで対峙(たいじ)させた二人の若者、ハインリッヒとエドアールトの世の中をみる目と、その生きざまにあった。つまり、エドアールトを饅頭男の傍らに常に置くことで、物語の枠を語らせていたが、<饅頭男>のハインリッヒは、竟には、アフリカへなぜか、旅立っていく*45/のだ

42.& 43.  Vgl.     ドイツ文学史東大出版会、S.193.  

                      1977...参照。

44. 「シュトップフ・クーヘン」饅頭男。

  Stopf-kuchen.      60歳の作。

45.  Vgl.   K.  Rothmann : Reclam.   a.a.O.  S.196...  

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Stopfkuchen : 晩年の作。1891年:--航海日誌と殺人物語、:

 Wieder an Bord !...Es liegt mir daran,gleich in der ersten Zeilen dieser Niederschrift  zu beweisen, oder darzutun, dass ich noch zu den Gebildeten mich zählen darf. ---Namlich ich habe es in Sud-Afrika zu einem  Vermogen gebracht , und das bringen Leute ohne tote Sprachen, Literatur, Kunst-Geschichte, und Philosophie eigentlich am leichtesten und besten zustande.  Und so ist es im Grunde auch das Richtige und Dienlichste zur Ausbreitung der Kultur ; --denn man kann doch nicht von jedem  deutschen Professor verlangen, dass er auch nach Afrika gehe, und sein Wissen an den Mann , das heisst an den Buschmann bringe, oder es im Busche sitzenlasse , bloss --um ein Vermogen  zu machen..