HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*メーリケ:書簡集 より

 

 1875年6月4日、シュトゥットガルトで亡くなったメーリケ(享年71歳)は、それより10年前に、すでに詩作は衰退していたが、最も旺盛だったのは1837年から38年にかけて(33歳から34歳)で、38年には150篇の詩を書き一冊に纏(まと)めていた。

死の20年前に出た1855年の短篇に「プラハへの旅路のモーツァルト」Mozart auf der Reise nach Prag があるが、これで頂点に達した感のあるこの作品はドイツで最も美しいといわれる音楽小説Musiknovelleである。

 また他方、長編では「画家ノルテン」Maler Noltenがあり、これは25歳で書きはじめ、28歳で完結をみた告白調の芸術家小説Künstler-Romanで、メーリケは52歳の時この長編に新たに手を加え改作を試みているが、才能の枯渇に悲哀を感じた彼は20年余りという歳月になす術(すべ)はなかっ た。