HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*ポーズをとった愛犬ターキーとタルティーニ メーリケ 愛の書簡集 より

 

このポーズをとったターキーを見ていると、よく声を出して笑ってしまいます。朝方、目覚めると声をかけてやるのですが、それはあのイタリアの作曲家、タルティーニの「悪魔のトリル」を聞いている際に、その誇張した演奏の特徴を呟いているときと変わらないのですから、きみがそれを知ったら、きっと可笑しいと思うに違いありません。けれども、実際に、わがドイツの先駆的なオペラの作曲家であるグルックや、健康で明るく、簡単な技法を特徴としたヘンデルや、「魔的」や「フィガロの結婚」でよく知られたモーツァルトの純金にも値する芸術に比べれば、それは浅薄(せんぱく)な誇張にすぎないとぼくには思えてしまうのですから仕方ありません。すると、そんな時、穏やかな声の調子と森の言葉ではありましたが、強かに胸の内を吐露するかのように、異議を唱える声も、森に木霊するように聞かされてもいたのでした。

       1831年 12月10日 付け                       Aus; Reclam  ebd.  S.36..

                           Aus; Morikes Brariefen...  ( 2004.8.5. ) 

 *タルティーニ・・1692-1770   *グルック・・1714- 87.

*ヘンデル・・1685- 1759.  *モーツァルト・・1756-  91..

f:id:zkttne38737:20160226125739j:plain   荷風   中村慎一郎 f:id:zkttne38737:20151216074754j:plain