HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

* Nachwort Ⅱ

                                            f:id:zkttne38737:20160225191935j:plain   シラー

*1986年に本郷の郁文堂から、他の何冊かと共に購入しておいたレクラム版の「バロック詩集」を読んでいると、まず、ギュンターの詩が目に入ってきて、そこから「学生歌」ほか4,5篇を訳してみたのだったが、ここで「ギュンターについて」簡単に触れておくと、彼は17世紀ドイツバロック詩派ではシュレージエン派に属するのだが、その特徴である所謂、バロック詩の特徴である誇張や過度の技巧は退け、激しい告白調の抒情詩を生み出していく。とはつまり、これぞまさに、近代詩へと繋がる重要な過度期の詩人たるゆえんなのだが、かくして、シュトルム・ウントゥ・ドゥラング期の若きゲーテにも影響を与えたことでも知られ、ありのままの自己の感情をうたいあげ、28歳という若さで夭折した詩人なのである。

+ このレクラム版・ドイツバロック詩集は、大学院時代に今は亡き宇田五郎教授の購読の授業に際して購入しておいたものであるが、そこには何篇かに黒く書き込んだ形跡がある。それを懐かしく思い出しつつ、今でこそ慣れ親しんで読み、かつ翻訳しているものの、当時はあまり関心は寄せていなかった詩人を、ここに書き記してみると、ひとりはホフマンスヴァルダウであり、(*彼は因みに、66の詩形を用いて、わずか二つのテーマ、すなわち、愛と無常しか書かなかった詩人である)、ひとりはローエンシュタインであり、(*彼はバロック詩の特徴とされる過度の誇張と装飾性を得意としたバロックも末期のマニエリスムを代表とする詩人である)、また、ひとりはローガウであり、(*彼は簡潔で明快な文体で書く格言詩、すなわちエピグラムに抜きんでており、時代の悪を暴く3000篇もの詩を残している詩人である)、またひとりは当時から既知のバロックでは最も傑出した詩人としてベリュームトなグリューフィウスがいて、これらの詩人の詩をあらためて何篇かづつ訳していったものなのである。 

  *さて、上に記した5人の詩人の他で翻訳してみたものは、固より、文学史上でもそれなり大きく取り上げられている詩人で、そのひとりはハーゲドルンであり、ウーツであり、そして、J.E.シュレーゲルだが、このうちハーゲドルンとウーツはグライムと並び、啓蒙主義時代の詩人であるが、(*因みに、これは17世紀バロックの次に来る18世紀も半ばごろに起き、シュトルム・ウント・ドゥラング期の前に位置する文芸思潮なのである)、ともにアナクレオーンに属し、同郷でもあるシュレージエンの詩人であるが、このアナクレオーン派についても簡単に触れてみると。:--この派の特徴は、酒や恋や友情をテーマにしており、現世の歓びをうたい、単純で優雅なものへの憧れや、戯れ楽しむこころを有しているのだが、これは、もっぱら感覚的なものや軽快な精神性を喜ぶ所謂、ロココ文学の先駆けでもあるのである。とはつまり、合理主義や規則性や、バロックの重厚厳格で個性を遮蔽(しゃへい)する形式や技巧尊重の精神や、その緊張から逃れ得た文学思潮の謂いなのである。そして、これらの詩人の詩作品は、同じく啓蒙主義文学時代に活躍したウンツァーやヴァイセと共に、すでに訳出してある詩篇のタイトルからしても、おおよその察しはつくというものであろう。(*因みに、それら詩篇のタイトルは、「口づけ」、夢」、「胸に秘めたる恋心」、「返答の差異」そして、「接吻」などである。 

                                 f:id:zkttne38737:20160225192816j:plain        アイヒェンドルフ    

***最後に、余談ながら記しておくと、この17世紀Baroqueの時期は、後に世界的な詩人Goetheを輩出したドイツに先んじて、世界文学史上でもよく知られる文豪を輩出した黄金のといっても誇張ではない時期でもあったのだが、それらの文豪とは、周知のイギリスではShakespear,1564-1616であり、スペインの「ドン・キホーテ」の作者Cervantes,1537-1616であり、「人生は夢」の作者Calderón,カルデロン,1600- 81であり、フランスの劇作家Corneilleコルネイユ、1606- 84であり、同じくフランスの劇作家Molière,モリエール1622- 73などである。 

                                                           f:id:zkttne38737:20160830180437p:plain