HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*夜と泉 インモースさんとニーチェの詩から

 

ニーチェの詩にこんなのがある。これはECCE HOMO,つまり「この人を見よ」の中のツァラトゥストラの項にあるものである.(訳は手塚富雄)

 夜だ ほとばしりでる泉は 今みな 声を高めて 語る

そして わたしの魂も 迸りでる 一つの泉だ

夜だ 愛を持つものたちの 詩が みな今 

     ようやく 目を覚ます  そして 私の魂も 

     こころに愛を持つ 一人の者の 歌う詩だ 

夜だ いま 私の内部から 泉のように わたしの熱望が 迸る

  それは 語ることへの 熱望だ !...

 夜だ ほとばしりでる泉は 今みな 声を高めて 語る

  そして わたしの魂も 迸りでる 一つの泉だ・・・

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この詩をみたとき、ふとこんな詩を思い浮かべていた。それは以前に母校の大学の友人から送り届けられた大学院恩師のT.インモース教授が創った詩で、図らずも思いだしていたからである。それはSchwyzと題されたこんな詩である。Wenn es dunkel wird, beginnen die Brunnen zu singen.

Wenn es dunkel wird, rauscht der Lebensbaum über dem Dach......

Wenn es dunkel wird, murmeln die Lieder im Bach.....    usw...

これを訳すとんな具合である。

 夜になると 泉が うたい始める 

夜になると 樹木の生命が 頭上高くで ざわざわと

   音を立てる

 銀色に揺れる 樹木の上で 蒼白い夜が 光の音を 奏でる

   万年雪を頂く 稜線のかなたで

 夜になると 魂は フルートを 奏でている

 夜になると 口を閉ざしていたものが うたい始める

 嘆きの環を くぐり抜け 力づよい音を 響かせて

 そして 果てしなく メロディーは アーチ(弧)を 描き出す

 夜になると 歌の中から 地平線が 開けてくる・・

   ***

  インモースさんの詩もニーチェの詩もモティーフは夜と泉だが、文芸学者で碩学の故インモース教授はやはり、優れた一人の詩人でもあることがわかる。

これはWelten-Roseと題された赤いビニール製の表紙で彩られている60篇よりなる詩集だが、そのⅡ.Die Welt ist schon!..にある最初の詩である。

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