HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*バラード Ⅰ: ゴグとマゴグ  

 

総理官邸の 防空壕:

その円天井は 重荷に 耐えかね 

噫 すべてが去り 終末は 来たのだ

これで 肩の荷が 降りたという 認識 !... 

あの血なまぐさい液が 流されることは ないのだ

だが その刹那 甲高い声が 響き渡る

  もう たくさん !!... 

 

声は 蒼穹に 響き渡り 九天に なほ高く 鳴り響き

黄泉の国にも エコーした :  

古代ユダヤの民は ゴリアテを打ち殺した 償いに

魂の底から 祈りをささげ 神殿を 造った

 その彼らが 走りくる 

ああ おおと 悲嘆に 咽(むせ)びながら

 

   官邸の 防空壕の 傍らでは 残骸が 

   山積みとなり 燃え 燻(くすぶ)り 

 小高く 突き出た 形姿は 見るも 無残

   燃えて 気化し 悪臭を 放つ

  ああ これも 忘れられぬ 悪夢・・ !!.. 

  汚物や 塵芥に 混じり 山と積まれた 

 マゴグや マゴグの 侏儒(しゅじゅ) !...

  今も昔も 変わらぬ こんな光景は

  十字架上の キリストの血にひとしい                            

    *  時代の彫塑的一断面

 

Gesammelte Werke    Claassen Vlg.  1964

      ebd.    S. 312ff..