読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*ボヘミアニズムと市民気質

 

青春小説「トニオ・クレーゲル」以後、「魔の山」Der Zauberberg ほか数々の大作を書いたT.マンには、小説家としてのボヘミアニズムと市民的勤勉な精神が共存していた。

 これに共感をおぼえた「雲のゆき来」ほか多くの作品で知られる小説家、並びに評伝作家の中村真一郎は規則正しい生活をみずからに課し、原稿は一日に五枚書くと決め、それ故、一年を通して、大晦日であろうと元旦であろうが、この執筆はやめなかった。そして、彼は「人間は矛盾した幾多の衝動の束である」という真理のもとに、並はずれたピキュリアン、享楽気質者としての怠け者の肉体と、極端に勤勉な市民的精神の同居を可能にしていたのである。

  蓋し、彼は天分に恵まれた人には違いないからこそ、これもできたのである。

      ***

f:id:zkttne38737:20161029163703j:plain