HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*アヤックスの盾には絡みつく蛇が:

 

       * 8909- 9126  :

・この箇所はフォルキアスの台詞、「薄曇りの朝、輝きまばゆく真昼の太陽よ!.」以下、第三幕その1の最後までの場面であるが、それまでのヤンブスのトリメーター、短長・抑揚格の3音格詩がトロケーウスの長短・揚抑格のテトゥラメーター、即ち、4 歩格・4詩格からなる詩行にとって代わっている。

 

  因みに、テトラtetra-とは、vier、4を意味し、これも古代ギリシアの悲劇に倣ったものである。

  フォルキアス :

見てのとおり アヤックスの盾には 

絡(から)みつく蛇が描かれ 

テーベを攻めた7人の勇士たちも その盾に

意味深い図柄をつけておった。

夜空に輝く月や星も 女神も 

    英雄もあった。

  ・9035 ~:

梯子(はしご)や剣や松明(たいまつ)や 

威嚇する攻め道具も 様様な図柄になった。

また ゲルマンの勇士たちも 先祖代々 

そうした紋章をつけ、 

獅子や鷲 鳥獣の爪や嘴 

水牛の角も鳥の羽も 

孔雀の尾も薔薇もあった。・・

金銀 青赤の縞模様の図柄も 

大広間に 列をなし掛かっている。

*Ajax fuhrte ja geschlungne Schlang'  im Schilde,

        Wie ihr selbst gesehn. 

 Die Sieben dort vor Theben trugen Bildnerey'n 

Ein jeder auf seinem Schilde ,reich bedeutungsvoll.

Da sah man Mond und Stern'

 Am nachtigen Himmelsraum,

Auch Gottin, Held und Leiter ,Schwerter,

Fackeln auch......

          ***  

*アヤックス  Ajax:  アキレスに次ぐ英雄。

  カサンドラを誘拐した。

・7人の勇士: ティドイス、カバノイス他で、

テーベ Theben古代  ギリシア・ベオティーエンの首都を攻めた

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この韻律学・Metrikに関しては、ハンザー版ゲーテ全集、18-1. Letzte Jahre 1827-1832.のなかのKommentar,Faust Ⅱ・3 Akt・S.922-S.1023.を参照。

Aus ; GOETHE SAMTLICHE WERKE 18-1

   Letzte Jahre 1827-1832  HANSER VERLAG 

      Munchner Ausgabe   S.922-1023.