HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

* 美貌と才知 ・ スタンダール「赤と黒」 より

 

 《 彼女はアンリ三世やバッソンピエール時代のフランスにあったような、英雄的な感情にしか、恋愛という名前をあたえなかった。》

*  因みに、バッソンピエール(1579-1646)は、元帥にして有名な外交官だが、ホフマンスタールの短編「バッソンピエール奇譚」(アバンチュール)でもよく知られている。

     

 ・突然、一つの考えがマチルドの気持ちをはっきりさせていた。⊡ 嬉しい、あたしは恋をしているのだわ。と彼女はすっかり有頂天になっていた。・・わたしは恋をしているのだわ。・あたしのような年頃の若くて美しい、才知の備わった女は恋でもしなければ、いったいどこに刺激を求めることができるのかしら

 

マチルドは「マノン・レスコー」、「新エロイーズ」、「ポルトガル尼僧の手紙」などで読んだ恋愛描写を頭の中で思い浮かべてみた。勿論、激烈な恋愛しか問題にならない。生ぬるい恋愛などは、マチルドのような生まれと年頃の少女には相応しくないように思えたのだ。

     第二部 第十一章 「少女の魅力」