HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

* 郷愁 : ヘッセ 「ペーター・カーメンツィント」 青春彷徨 第七章 

 

 高き空に  浮かぶ  白雲のごと

 美わしくも 遠きなるかな 汝れ

 エリーザベトよ !..

 

  白雲は 万里を さすらひ

 そを 汝れは 見ずとも

 今宵も 闇夜なれば 

  夢に 見つらん

 

 嗚 輝ける 汝が すがたよ!...

 白雲の 行方を 恋ふがごと

 憧がれ 慕ふかな われ !....

 甘く 汝れを 想ひえがきし 

    郷愁 なればこそ !....

         ***

  以前から、ボートをこぐ時の靜かな動きに合わせ、私は口ずさむ癖があったのだが、今もひとり低い声で歌っていると、それがいつしか、詩になっているのに気づいた。私はすると、嬉しくなり、チューリッヒでの美しかった湖上のデンクマールに書きとめていたのだった。