HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

* 鐘の音 : デーメル「女と世界」より

 

そして 日暮れに ほっと一息 したくなったら

鐘の音が なにを 告げているか 

外に出て 耳を 澄ましてごらん

あちこちの 小屋から 立ち上る 煙は

槲のこずえを 温かく 包み込み

さあ お出でと 云っている 

すると やがて 蕾に蔽われた 木の下では

木霊とともに そよぎが 秘めやかに 囁くのだ:

春だ さあ 出てゆくがよい 廣い 草原に・・

父と子が ここかしこ なんの屈託もなく

毬投げして 戯れ遊ぶ 草原へ!... 

   そのとき 頭上を 見上げれば 白樺が

  おりしも 花を鏤めた 楓を相手に 

  燦然と 輝き 薄緑色の 若葉を 戦がせ 

  あかるく 戯れて いるであろう

   * デーメル 「復活祭と降臨節に臨んで」

       Dehmel:  Zwischen Ostern und Pfingsten

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シラーの「鐘の歌」を凌駕するようなドイツ詩人は到底、でまいとすれば、いったい何を目当てに粉骨砕身するのか。詩作の真の力の泉は、枯れ尽きてしまったのだ。  新しいものはどれも皆、模倣か痙攣にすぎないとプロメトイスは云った。  そこで私は、それではデーメルはどうだね、と訊いた。彼は黙ったなり頭を振った。その名はまだ、一度も聞いたことがない、というのであった。

    * カロッサ「美しき惑いの年」