HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

文学・学問・詩: 余滴

*ホーソン: 「緋文字」より

しかしヘスター・プリンは首を横に振った。 「よいか、神の慈悲の限度を超えてはならぬ」 ウイルソン老牧師は 一段と 荒々しい口調で云った。・その子の父親の名前を云うのだ。そうして懺悔すれば、その緋文字を胸から外してやってもいいのだぞ」 「いやです…

*A.マルロー:「王道」より

「いや違う」とぺルケンは云った。 「あっちの女だ」 《サディストかな、この人》とクロードは思った。 噂によると、ペルケンはシャム政府の依頼で未帰属部族のもとに派遣されたとか、ビルマ東部のシャン高原地方やラオス辺境地方の統合にのりだしたとか、バ…

*「クレーヴの奥方」や「ルネ」といった・・:プルースト「スワン家の方へ」より

・・ピアノの鍵盤では あちこちに鍵盤を構成する愛情・情熱・勇気・平静といったキーのうちの幾つかが 未踏の闇によって 互いに隔てられていて、その各々は宇宙が一つ一つ異なるように 他のキーと異なっているのだが、それらは偉大な作曲家にみいだされ、見…

*スワン家の方へ:プルースト より

17世紀オランダの画家 フェルメールについて オデットはスワンに訊ねた。この画家は女のために 苦しんだことがあるのかしら、ひとりの女からインスピレーションを与えられたことがあって?... これに対して スワンが実はまだ、何もわかってはいないのだよ、と…

*西洋の現代文学に関して:

・西洋の現代文学に関して:-- 世界をラジカルに懐疑し信じられないという立場の代表が、フランスの実存主義の作家、例えばサルトルとカミユならば、ドイツ文学圏のカフカは世界観はこれに近いが、異なるのはいかにしたら打開できるか問うところである。: 前…

* 老子と「道徳経」承前 :ブレヒト  

肩越しに 老賢者は目を向けた 男は破れた衣を着 額には太い皺が走り みるからに 寂れた風袋だった なのに 見上げたもの-- 老賢者はつぶやくと 声高に云った : 求められたからには応じよう 老賢者は牛から降りると 七日間 少年に口述筆記をさせた その間 税関…

* 税関番と賢者・老子 : ブレヒト 

老賢者は70になり 衰えを感じると 安らぎを求めた 天なる下では仁慈も廃れ 邪悪に満ち 彼はこころを決めるや 入用なものを荷造りした 毎晩 紫煙を燻らす煙管や 愛読書の一巻は はずせないもののひとつであった 老賢者は国境の山中へ辿りつき振り返ると 廣い…

* デュレンマットの「貴婦人、故郷に帰る」:

「貴婦人、故郷に帰る」はこんな内容である。:主人公のクララ・ヴェッシャーは若いころ、イルから誘惑され貞操を弄ばれ、娼婦と誹謗を受ける。が、世界で最も富んだ婦人となった。その彼女は62歳になると身体的には衰えてきたものの、滑稽なほどめかしこみ生…

*夏は夜:「枕草子」より : 名作のドイツ語翻訳

Im Sommer ,ich mag die Nacht gern, nicht nur wenn der Mond scheint, sondern das Dunkel auch, als die viele Gluhwurmchen einander die Wege in ihren Flugen kreuzen, oder als es regnet auch ...... ・夏は夜。 月のころはさらなり。 闇もなほ。 蛍…

*ボヘミアニズムと市民気質

青春小説「トニオ・クレーゲル」以後、「魔の山」Der Zauberberg ほか数々の大作を書いたT.マンには、小説家としてのボヘミアニズムと市民的勤勉な精神が共存していた。 これに共感をおぼえた「雲のゆき来」ほか多くの作品で知られる小説家、並びに評伝作家…