ソフォクレスによって書かれ、前441年に上演されたギリシア劇「アンティゴネー」は、攻めよせた敵方の骸(むくろ)を葬(ほうむ)ることを禁ずる掟(おきて)に、敢然として逆らい、死に処せられるオイディプスの娘、アンティゴネーの悲劇だが、そこに出てくるアンティゴネーの有名な言葉がある。それはこんな言葉である:
「憎しみあうためにではなく、
愛をともにするために、私は
生まれてきたのです。
この人道的、寛容的精神性に富む言葉は、ドイツ語訳ではこんな風になる。
Nicht mit-zu-hassen ,
mit-zu-lieben bin ich da !!. ( 523行 )
因みに、この言葉は、19世紀のドイツの作家、W.ラーベ,Wilhelm Raabeの長編小説「飢餓牧師」Der Hunger-pastorのLeitwortとして、文頭に引用されており、よく知られた言葉なのである。 ***