・スパルタのメネラス王の 宮殿の前
Vor dem Pallaste des Menelas zu Sparta
*8697- 8753 行 :
・この合唱部の箇所は、9節からなっていて、1と2はそれぞれ5行づつ、3と4はそれぞれ6行づつ、そして5節目はメソーデといって、中間節となっており、また、6と7節はそれぞれ8行づつ、更に、8と9節はそれぞれ5行づつ、といったように対をなして書かれている。
イリオスの城壁は まだ 残ってたわ
けれども 渦巻く火焔は 次々と
近隣に広がり さらなる 吹き荒れる風に
煽られて あちこちで
火焔の町と 化していたのよ
**
わたしは 紅蓮(ぐれん)の炎と
煙の中を 逃げ惑いながら
火柱のたつ家の陰で 憤怒(ふんぬ)の形相(ぎょうそう)
ものすごい 神々の 巨人のような
怪異の姿をみたのよ
神々は 大股で 黒煙の中を走り去って いったわ
***
こんな 終末的世界は いまなお
信じられないほどね それとも
実際 あれは わたしを襲った
恐怖だったのかしら
**
空想か 実際か わたしには分からないのよ
***
Sah ich's, oder bildete
Mir der angst-umschlungene Geist
Solches Verworrene ?....sagen kann
Nimmer ich's ;...
・メネラス Menelas : スパルタの王で、ヘレナの夫。
・イリオス Ilios :-トロヤの別名。