HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*お黙り お黙り 嫌らしい目つきで・・:  

 

   8882- 9808 行 :合唱部

この箇所は4節よりなり、1.Vor-Strophe 5行と、2.シュトローフェ8行、3.アンチ・シュトローフェ8行、4.Epi-Strophe の6行からなる三和音である。(*因みに、4.のエピ・オーデ Epi-Odeとは、ギリシア劇における末段のことで、オーデを構成するシュトローフェと、それに対するアンチ・シュトローフェとにつづく長短格交互の詩形の終結部である)

     8882~:

1.お黙り、お黙り Schweige, schweige  !

 いやらしい目つきで 嫌らしいことを云うひとね

        Miss-blickende, missblickende  Du !...

一本歯の 怖ろしい口から

気味悪い 皺だらけの孔(あな)から

何ということを云うの

2.情けありげにみえる 意地の悪さ

 羊の毛皮を身に着けた 狼の剣呑さ

 首が三つもある犬の

 ケルベルスの歯よりも 怖いのね

そんな悪だくみの根深い下心で

隙(すき)を狙(ねら)っている怖ろしい正体が

いつ何処で どう襲いかかってくるかと

びくびくして聞いていたわ

 Denn der bos-artige wohl-thatig erscheinend,

   Wolfes-Grimm unter schaf-wolligem Vliess

 Mir ist er  weit schrecklicher  als des 

  drey-kopfigen Hundes Rachen .

 Aengstlich lauschend stehn wir da,

Wann ? Wie?  wo?..nur brichts hervor 

Solcher Tucke ......

      ...

 4. お黙り、お黙り !

いま 消えてゆきそうな お妃さまの魂を取り留めて

昔から 陽の照らすもとに生まれた 

女人のなかで いちばん お美しい あのお姿を

もうしばらく ここに お留めして おきたいのよ

    

ケルベルス Cerberus : 頭の三つある怖ろしい犬で、地下の冥府の入り口を護る番犬。     ギリシア神話