HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*メルヴィル「白鯨」より

 

・・鯨全体の測り知れないほどの力が全て、尾鰭に集結しているかと思えるほどである。だが、この素晴らしい力は尾鰭の優美なしなやかさを聊かも、損なうものではなく、寧ろ、思わず見とれてしまうほどの動きの美しさである。・・

真の力というものは 決して、美や調和を損なわず、いや寧ろ、逆にそれを与えているといえよう。

 

全ての圧倒的な美しさには、その魅惑にと云うものが大きく関与しているのである。

   例えば、ヘラクレスの大理石像から 全身を緊縛する  はち切れそうな腱をすべて取り去ってみるがいい。その魅力は忽ち、立ち消えてしまうであろう。

  また、ミケランジェロが 父なる神を人間の姿に象って描いたとき、どんなに逞しさを表したか。・・

またゲーテをこの上なく敬愛したエッカーマンが、ゲーテの亡骸からリンネルの覆いを持ちあげたとき、ローマの凱旋門を思わせる筋骨隆々たる その胸に圧倒されたというのである。・・

  *** H. Melville: 1819-  91;

            Moby-Dick.  :The white Whale