HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

* 「ボヴァリー夫人」より:

         最初、彼女は修道女との交際を喜び、よく礼拝堂へ連れていかれ、教理問答は理解していて、司祭の質問によく答えていた。

   彼女は祭壇の薫香や聖水盤の冷やかさ、蝋燭の光の神秘さに心地よく微睡み、また苦行のため一日中、何も口にしないこともあった。告解には長く留まりたくて小さな罪を考え暗がりで膝まづき、司祭の言葉に耳を傾け説教に出てくる譬え話にうっとりとしていた。

  夕方の祈りには宗教書の朗読が行われ、また、週日は聖書の講話、日曜日には「キリスト教精髄」の講話があり、そんな時は木霊するロマンチックな嘆きに幸せを感じていたのだ。

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エンマ: 田舎の開業医シャルル・ボヴァリーの二度目の妻。修道院で教育をうけ夢多く、夫には満たされず、単調な日々から情事に溺れこんで行く。