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HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*韻律学・Metrik 4.  ゲーテ「ファウスト」 第二部 第三幕 「ヘレナ」より 

*韻律学 Metrik :ゲーテ「ファウスト」 第二部第三幕 ヘレナ より

 

 * 8882- 9808 行 :合唱部

この箇所は4節よりなり、1.Vor-Strophe 5行と、2.シュトローフェ8行、3.アンチ・シュトローフェ8行、4.Epi-Strophe の6行からなる三和音である。(*因みに、4.のエピ・オーデ Epi-Odeとは、ギリシア劇における末段のことで、オーデを構成するシュトローフェと、それに対するアンチ・シュトローフェとにつづく長短格交互の詩形の終結部である)

8882~

1. お黙り、お黙り Schweige, schweige  !

  いやらしい 目つきで 嫌らしいことを 云うひとね

                    Miss-blickende, missblickende  Du !...

 一本歯の その怖ろしい 口から

 気味悪い 皺だらけの 孔(あな)から

 何ということを 云うの

2. 情けありげに みえる 意地の悪さ

 羊の毛皮を 身に着けた 狼の 剣呑さ

 首が 三つもある 犬の

 ケルベルスの 歯よりも 怖いのね

 そんな 悪だくみの 根深い 下心で

 隙(すき)を 狙(ねら)っている 怖ろしい 正体が

 いつ 何処で どう 襲いかかってくるかと

 びくびくして 聞いていたわ

  Denn der bos-artige wohl-thatig erscheinend,

     Wolfes-Grimm unter schaf-wolligem Vliess

 Mir ist er  weit schrecklicher  als des 

  drey-kopfigen Hundes Rachen .

 Aengstlich lauschend stehn wir da,

Wann ? Wie?  wo?..nur brichts hervor 

Solcher Tucke ......

      *  ...*   ...

 4. お黙り、 お黙り !

 いま 消えてゆきそうな 

 お妃さまの 魂を 取り留めて

 昔から 陽の照らす もとに 生まれた 

 女人のなかで いちばん お美しい あのお姿を

 もうしばらく ここに お留めして おきたいのよ

    ***

Vgl.

*ケルベルス Cerberus : 頭の三つある怖ろしい犬で、地下の冥府の入り口を護る番犬。ギリシア神話