2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧
62年から70年までシュトゥットガルトで30代の8年間を過ごしたラーベは、それまでにない解放感を抱き、書くことに 打ち込む。この時期は、また、友人たちと親しく付き合うことのできた時期で、 後に所謂、長編三部作、「飢餓牧師」「アブ・テルファン」「死体…
40代をブラウンシュヴァイクで過ごしたラーベ。時はビスマルク帝国の時代。彼は権力主義的政治には危機感を抱く。というのも、商業主義的政策や産業化の波は人の魂を打ち砕く以外なにものでもないからである。そんな時代であればこそ書くものはイロニー的色…
処女作「雀横丁年代記」は 若きラーベが老人を語り部にして 過去を振り返りつつ回想していくスタイルで書いた。:そこでは ベルリーンのうら寂れた裏横丁を舞台に 錯綜とした小市民の運命と日常を、時代の運命を重ねることによってユーモアとペーソスをまじえ…
.ラーベは、ヴィーンやミュンヒェン、シュトゥットガルトにも旅してまわる。そして、はるかに自由な世界を知る。なかでも、シュトゥットガルトは31歳の時に名士の娘ベルタと結婚した土地で、以後8年間を暮らした。 その為、終生、忘れ得ぬ地となり、この南の…
ラーベは28歳のとき南ドイツに旅をし、地方の文化や市民生活に触れ、人の歓びを目の当たりにした。 ライプツィッヒやドレスデンでは、何人かの作家にも接し、その一人は当時43歳のフライターク。彼の代表作は「借りと貸し」Soll und Haben。もう1人は48歳の…
19世紀ドイツの作家W.ラーベの処女作「雀横丁年代記」⑤には、文頭でこう書き記されている。: 「実に、嫌な時代である」⑥と。 このモットーは、ラーベの長短68篇あるすべての作品に貫かれているといってよい。: 25歳のこの処女作以来、半世紀近くにわたって、…