HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

*オデュッセウス: ブレヒトより: Ⅰ-1 (*16)

ギリシアはイタケの王: 策謀家オデュッセウス。 彼は、世の男を魅惑した美声のズィレーネンの島が見えてくると船のマストに、みずからを縛りつけさせた。櫂(かい)を漕(こ)ぐ者らには耳に蝋(ろう)で栓をさせた。 美声に心が乱れぬようにとの配慮から。 島の近…

* ディオティーマよ!...何処?・: ヘルダーリン「ヒューペリオン」より

1770年生まれのヘルダーリンはシラーと交友あったドイツの純粋な魂の詩人。が、彼は73年の全生涯の後半生、30数年を精神の闇に暮らした詩人でもあった。 彼の評価は高い。唯一完成した散文作品に手紙形式で書かれた「ヒューペリオン」がある。: 「ディオティ…

*リンコイスのように : ラーベ抄より -13.

ラーベが 最後に発表した作品「ハステンベック」は歴史小説で、これは7年戦争を扱ったもの。彼はその後、もう一篇「アルタースハウゼン」を書きはじめるが、これは中途のまま老齢の故もあり筆を絶つ。 とはいえ、擱筆してから10年の歳月の間に、いろいろな名…

*「フォーゲルザングの記録」 より : ⓬ (* - 10 )

ラーベは30歳で婚約し、結婚したのが31歳、四人の娘。長女が誕生したのが32歳のとき、また、次女は37歳のとき、三女は41の時、そして四女は 45歳の時の子。が、末娘ゲルトルートには悲しい思い出があった。というのも、16歳の若さで病死していたからだ。この…