HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

*メルヴィル「白鯨」より

・・鯨の尾びれには測り知れない力が、すへて集結している。この力は尾鰭の優美さを聊かも損なわず、思わず見とれてしまうほど。そのように、真の力は美や調和を損なわない。 全ての美しさには、その魅惑に力と云うものが大きく関与している。 例えば、ヘラ…

*ルクルスと ルクレティウス : ブレヒトより Ⅱ-3 (*20 )

老いた前将軍ルクルス。: 彼は、嘗て、全盛期にアジアに出征した。すると、ポンペイウスはこの時とばかり、陰謀を巡らし彼を排斥した。 ルクルスが真のアジア征服者だと崇められていることを承知の上で。 ・ 紀元前63年初期。: ローマは政情が不安定で、ポン…

*第二の青春 マリアンネ:「西東詩集」より

ゲーテ晩年の「西東詩集」には新たな恋愛対象として出逢ったマリアンネ・フォン・ヴィレマーが関わっている。 このマリアンネは ズライカとして「西東詩集」に重要な形姿として現われてくる。つまり、最後の恋愛体験としてのマリアンネ体験によって、ゲーテ…

*風の声: リルケ「ドゥイノの悲歌」より

憧れと愛に生きた女を 歌うがいい 英雄は 存在を貫き 没落も口実となす だが 精魂尽きれば 塵に帰る・・ 地から轟き渡る 巨大な声 聴け それは神の声!!...だが 堪ええぬなら 風の声に 耳を傾けるがいい 若い死者に代わって その嘆きの声を! )) ) Rilke: Duin…

* 「ナポレオン軍遠征に関する逸話」: クライスト奇譚集 より

「1809年、皇帝軍遠征に付き従いて」と題された書物のなかで、ナポレオン皇帝に関して、次のような逸話が記されている。--: それによると、作者はナポレオンの力量に憐憫の念を感じつつ、こんな奇妙な一例を伝えているのである。--: 周知のごとく、アスペル…