HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

*ジッド「贋金つかい」: -より

劇文学で、ラシーヌの父と子のやり取りほど 感心させられるものはない と作家エドゥアールは云った。 いいかね。芸術は 要するに、普遍的なものなのだよ。・つまり、個別を書きながら 普遍を表現している。 ちょっと 喫煙 よろしいかな。 「どうぞ、遠慮なさ…

*古都奇譚:- 古都に眠る魂の物語: ベルゲングリューンより

W.ベルゲングリューン短篇「古都奇譚」 冒頭部 より: さあ、みなさま、わたしの傍らにおかけください。 ボトルはテーブルに用意できております。秋の陽はすでに沈み夕暮れて、外では鴉が鳴きさけび木枯らしも吹き荒(すさ)んでおります。 ところで、地下に眠…

*「故郷の博物館」:レンツ: より

年代記風に書かれた長編「故郷の博物館」Heimart-Museum: これは追放された農民を例に、故郷ハイマートという概念の問題提起をしている。:即ち、 叔父から小さな故郷の博物館を受け継いだロガーラは これをナチスから守り、幸運にも在庫品の一部をも護った。…

* ムシュクの「バイユーン; 同盟団」:

「バイユーン、或いは、同盟団」:ムシュク この長編はムシュク第五作目で、こんな内容である。: 或る長老の作家 リュッターは七人のエキスパート代表団と 3週間の予定で中国に旅立つ。 さて2週間後、代表団のリーダーのS.は激高して 皆から嫌われ毒殺されて…

*御復活祭前の第五旬節の日曜日に: ランゲッサーの詩 より

Sonntag Quinqua-gesima : 人は 同朋(はらから) ともに生き 傷(いた)みも情熱も分かちあひ さながら 灼熱の地獄のなか 泪して 熱く たゆまず こころを ひとつにと願ふ されど 悲しきかな!.. 鷲のように飛翔しても 憧憬は 世の園にとどまり・・ 神から離れ 流…

*御復活前の七旬節の日曜日に:ランゲッサー

人類は ふかきこころで 待ち望む: 石からさえ 血のにじむ 孤独の悲しみから 肉体は 樹木や動物にも 朋友と ならんことを望み 溢るる 愁ひの呪縛から 解き放たれたきと ))) おお 愁ひに満ちた 苦悩よ !.. 清水や棕櫚の樹や 繁みに向ひ 愛のエクスタシーのなか…

* 或る転轍手の冒険 : アルトマン より

U.P.鉄道の ポイント切り替え人の責務は おおきかった。人命に対して重い責任が課せられていたからに他ならない。 彼は いつも、一冊の愛読書を携えていたが、その習慣は 10年来、変わってはいなかった。 そして、また、読むのは 77ページまでで、その先は …

*行けよ、ミサは終われり: G.グラース「ブリキの太鼓」より ⑶

三人の少年は 祈禱から始めた。: 赤と白のミサ衣を着たレンヴァントの兄は 香炉を持ち、弟は祭鈴を持っていた。 代理司祭のいでたちをしたコーレンクラウが ミサに必要な品を全部持ってきた。司祭の衣はだぶだふだったが、なかなか 巧く真似ていた。最初は皮…

* 老子と「道徳経」:ブレヒト より Ⅱ- 1 (*19-)

肩越しに 目を向けた老賢者の眼に映ったのは 衣は破れ 額には皺が走り みるからに 寂れた風袋の男 : 老賢者は その男に云った :求められたからには 応じよう 牛から降りると それから 七日間 口述筆記 その間 税関番は 三度の食事を用意し 質素ながら もてな…

* : ブレヒト 「道徳経」より:Ⅱ-2 (*18)

古稀 70になり 衰えを感じた老子は 安らぎを求め 旅立つ : 天なる下では 仁慈も廃れ 邪悪に満ちていたからだ こころ決めるや 荷造りし 毎晩 紫煙を燻らす煙管 愛読書の一巻も 忘れなかった >> 国境の山中へ辿りつき 振り返えり 廣い高原の景色に目を向け 脳…

*ブリキの太鼓 : .グラスより ⑵

・ぼくは 誕生日以降、1センチも生長しなかった。3歳児のままだ。が、賢さは3倍になった。 背は低いが 大人を凌駕していた。 そのころ 政治家にはならない、と決めていた。小さな人と大きな人、ダヴィデとゴリアテ、一寸法師と巨人、いつまでも3歳児であり小…