HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

*ランゲッサーの異世界:異教的な神話の試み

Sonntag Quinqua-gesima : 人は同朋(はらから) ともに生き 傷(いた)みも情熱も 分かちあひ さながら 灼熱の地獄のなか 泪して 熱く たゆまず こころを ひとつにと願ふ されど 悲しきかな!.. 鷲のように 飛翔しても 憧憬は世の園に とどまり・・ 神から離れ …

*:幻想と現実の交錯: ラーベ「フォーゲルザングの記録」 より : (* - 10 )

ラーベは結婚したのが31歳、四人の娘がいた。長女が誕生したのが32歳のとき、また、次女は37歳のとき、三女は41歳、そして四女は 45歳の時の子である。が、末娘ゲルトルートには悲しい思い出があり、というのも、16歳の若さで病死していたからである。この時…

* 懐かしき夢: ハイネ より

懐かしき夢をみた: 五月の夜のこと ぼくたちは 菩提樹の木蔭(こかげ)で 永久(とわ)の愛を誓って いた それは新たな誓い くすくす笑ひ 愛撫し接吻を交わし ぼくは誓いを こころに留めた けれども ぼくを苦しめていたとは おお 恋人よ!... きみの誓いは美しく…

*ニーチェと学者詩人:Philologen Poeten

学問と芸術とに心砕いた哲学者 ニーチェ:Nietzsche 彼は「偶像の黄昏」で ブルクハルトを尊敬すべき友人と述べ 彼の「イタリア ルネッサンス」に 学問と芸術の美しい融和を みとめていた ルネッサンスの詩人は また学者でもあった: 彼らは古典古代の再発見を…

*::スタンダール より

'おお 春! 四月は 定かならぬ輝きに満ち!.. 恋愛も 陽の輝きに あふるる が やがて 雲は すべてを覆い隠しおり シェイクスピア -- 「赤と黒」第一部 第十九章 導入部より *

* プルースト より ⑵

17世紀オランダの画家フェルメールについてオデットはスワンに訊ねた。 この画家は女性のために苦しんだことがあるのかしら、女性からインスピレーションを与えられたことがあって?... スワンが、実は、わかっていないというと、彼女はフェルメールに興味を…

* 「ファウスト」真夜中 より

Faust: Entferne dich : さっさと 立ち去ることだな 用はない: Die Sorge: Ich bin am rechten Ort: いいえ わたしは居させてもらうわ ファウスト: 始めは 怒りが込み上げてきたが、やがて、 気を静めて: ならば 呪文は 口にせぬことだ 憂い: わたしの声は …

*ダンテ「神曲」:天国篇 第11歌 より

おお 人間! その純(おぞ)ましさ: - ある者は法学を ある者は医術を追いもとめ - ある者は司祭にならんとす また ある者は詐術に手を伸ばし - はたまた 快楽に酔い 懶惰(らんだ)を貪( むさぼ)る輩もいる・・- わたしは だが それらの塵労からは解かれ ベアト…

* 激しい恋愛:「赤と黒」より

バッソンピエール時代のフランスの英雄的な感情に、恋愛をみてとっていた彼女。...: バッソンピエール(1579-1646)は、元帥にして外交官、ホフマンスタールの短編「バッソンピエール奇譚」でも知られているが、突然、マチルドは上気したのだ。 あたし恋をして…

*プルーストより

ピアノの鍵盤では愛情・情熱・勇気・平静といったキーが他のキーと異なって、作曲家の手にかかると目覚めさせてくれる。 そのように、作曲家ヴァンの楽節には、充実した内実が感ぜられた。 スワンは、いつしか、「クレーヴの奥方」が憶い出していた。 プルー…