HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

*夢: :ゲオルゲ より

彼女の夢を見ていた: 花咲き樹に囲まれた館で 光を浴び、彼女は子と 和んでいた 花輪を身にまとい 子は 微かに揺れると 黄色い菊が 額に靡いた やがて 池に向かい 子は大理石の階段に来ると よろめき 鷲とともに 空高く舞い上がり 立ち昇る霧とともに 光とな…

* 「ボヴァリー夫人」より:

最初、彼女は修道女との交際を喜び、よく礼拝堂へ連れていかれ、教理問答は理解していて、司祭の質問によく答えていた。 彼女は祭壇の薫香や聖水盤の冷やかさ、蝋燭の光の神秘さに心地よく微睡み、また苦行のため一日中、何も口にしないこともあった。告解に…

*ウクライナの女 リーディア: 

「ねえ、ヒラメのこと覚えていらして?..」と訊ねてみたが、いいえと ロベルタは云うのだった。 「忘れるはずないわ。大きなヒラメ焼いたでしょう?..」こう云ったにも拘らず、ロベルタは覚えていないのと繰り返す。けれども、それは終戦直前のころ手に入った…