HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧

*A-.+:原罪とエデンの園:

人類は ふかき こころで 待ち望む: / 石からさえ 血のにじむ 孤独の悲しみから / 肉体は 樹木や動物にも 朋友と ならんことを 望み /溢るる 愁ひの呪縛から 解き放たれたき と ))) おお 愁ひに満ちた 苦悩よ !.. / 清水や 棕櫚の樹や繁みに 向ひ 愛のエクス…

*A-+: 夜と泉: 1.~3.-

* *** ))) ---: 夜と泉: ⑴ ~ ⑶ 夜の帳が下りると 静寂が あたりを包んだすると 泉は静かに 月の光を浴びて 輝きだす星々が瞬き 夜空に絵を描いた泉の水は、まるで 銀色の絹のように 風が 泉のそばで そっと囁き水面に触れると 波紋が 広がり始めた夜の泉は…

*A-.+: ディオゲネスに関する逸話 :

古代ギリシアの哲学者ディオゲネスは、ある時、 「死後に埋葬されたいところは、どんなところでしょう・・」と訊かれると、 「野原の真ん中でよかろう」 「えっ!..なんですって?..」 「鳥や野獣の餌食になってしまうではありませんか・・」 「ならば、傍らに…

*御復活祭前の第五旬節の日曜日に: ランゲッサーの詩 より

Sonntag Quinqua-gesima : 人は 同朋(はらから) ともに生き 傷(いた)みも情熱も 分かちあひ さながら 灼熱の地獄のなか 泪して 熱く たゆまず こころを ひとつにと 願ふ されど 悲しきかな!.. 鷲のように 飛翔しても 憧憬は 世の園に とどまり・・ 神からは…

* 四人来て 三人帰ったな: 「ファウスト」第二部 第五幕 真夜中より

真夜中に 四人の灰色の女が来て、ファウストの棲む宮殿から、 第一の女《不足》Mangel 第二の女《罪》Schuld、そして 第四の女《苦しみ》Nothの三人は、受け入れてくれないと観念して去ったあと、 鍵穴から そっと入り、残ったのは第三の女《憂い》Sorgeであ…

* トルストイ「アンナ・カレーニナ」: より

幸福な家庭は似通っているが、そうでない家庭の様相はさまざまである。: 「アンナ・カレーニナ」のこの冒頭部。 よく知られた一節で、この長編の第一部の11には、ハイネの詩の一節も挿入されている。: 抑えがたき この世の欲情に 打ち勝てば この世は わが春…

*囚われの男: 2: 承前 

夫人のマーティルデさんは庭先で洗濯物を干し訊ねてきた。 その間、青い顔のアルバーンは、話に耳を凝らしていた。 本当に、いいことなど ありませんでしたわ、夫人は云った。すると 悪いのは、この俺のせいだ。Ich bin schuld daruber.... アルバーンは い…

*囚われの男: Die Sippe auf dem Berg und im Tal:

いとこのアルバーンは、今、どうしているのだろう。噂を聞かなくなってから久しい。それほど親しく付き合ってきたわけでもない。 彼の一族は大家系で、関心を寄せたことがあった。 それはアルバーンが特有の主張、「嘘じゃない。悪いのは、俺ひとりなのだ!」…