HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

* E. ランゲッサー詩と 短編選

*ランゲッサーの異世界:異教的な神話の試み

Sonntag Quinqua-gesima : 人は同朋(はらから) ともに生き 傷(いた)みも情熱も 分かちあひ さながら 灼熱の地獄のなか 泪して 熱く たゆまず こころを ひとつにと願ふ されど 悲しきかな!.. 鷲のように 飛翔しても 憧憬は世の園に とどまり・・ 神から離れ …

*御復活祭前の第五旬節の日曜日に: ランゲッサーの詩 より

Sonntag Quinqua-gesima : 人は 同朋(はらから) ともに生き 傷(いた)みも情熱も分かちあひ さながら 灼熱の地獄のなか 泪して 熱く たゆまず こころを ひとつにと願ふ されど 悲しきかな!.. 鷲のように飛翔しても 憧憬は 世の園にとどまり・・ 神から離れ 流…

*御復活前の七旬節の日曜日に:ランゲッサー

人類は ふかきこころで 待ち望む: 石からさえ 血のにじむ 孤独の悲しみから 肉体は 樹木や動物にも 朋友と ならんことを望み 溢るる 愁ひの呪縛から 解き放たれたきと ))) おお 愁ひに満ちた 苦悩よ !.. 清水や棕櫚の樹や 繁みに向ひ 愛のエクスタシーのなか…

*囚われの男:

いとこのアルバーンは、今、どうしているのだろう。噂を聞かなくなってから久しい。それほど親しく付き合ってきたわけでもない。 彼の一族は大家系で、関心を寄せたことがあった。 それはアルバーンが特有の主張、「嘘じゃない。悪いのは、俺ひとりなのだ!」…

*囚われの男: 承前 

夫人のマーティルデさんは、庭先で洗濯物を干し、訊ねてきた。 その間、青い顔のアルバーンは、話に 耳を凝らし聞いていた。 本当に、いいことなど ありませんでしたわ、夫人は云った。すると 悪いのは、この俺のせいだ。Ich bin schuld daruber.... アルバ…

* 復活祭前の 第五旬節の日曜日: 

Sonntag Quinqua-gesima : 人は 同朋(はらから )ともに生き 傷(いた)みも 情熱も分かちあひ さながら 灼熱の地獄のなか 泪流すは 熱く たゆまず こころを ひとつにしようと 願ひしからか 噫 されど 悲しきかな!.. 目の前は 闇のように 閉ざされ 鷲のように …

*ウクライナの女 リーディア: 

「ねえ、ヒラメのこと覚えていらして?..」と訊ねてみたが、いいえと ロベルタは云うのだった。 「忘れるはずないわ。大きなヒラメ焼いたでしょう?..」こう云ったにも拘らず、ロベルタは覚えていないのと繰り返す。けれども、それは終戦直前のころ手に入った…

*ブナの森?..ダッハウ?..それとも、:

「それにしても、あそこの老紳士は何を話しているのだろう。誰かが処刑されたとか」 ベルリンを貫流しているシュプレートンネルは占領された折り、一部の狂信者により、2,3週間ほど前、水浸しにされてしまったのだが、いまだ地下鉄は寸断され、乗客は歩くほ…

*カッコウと負傷帰還兵: 

カッコウが啼いている。その啼き声は、辺りに響きわたり木霊している。すると、その啼き声に目ざめた夫は、かれは負傷帰還兵であったが、手足や体を思いきりの伸ばすと、心地よさそうに呻き声をあげた。そして傍らの妻の手をつかもうとした。だが、妻はその…

*御復活前の七旬節の日曜日:  ランゲッサー

人類は ふかきこころで待ち望む 石からさえ血のにじむ孤独のふちの悲しみから 肉体は樹木や動物にも 朋友とならんことを望み 溢るる愁ひの呪縛から解き放たきと おお 愁ひに満ちた苦悩よ !.. 清水や棕櫚の樹や繁みに向ひ 愛のエクスタシーのなかで腕を拡げ …

*わたしは世界が明けるのを見た;「仔羊の回帰線」序 より

黄金に輝く微笑みのなか 世界が明けるのを見た その世界は 深い秩序ある映像として鮮明になり 戯れているように形作られてゆき 平生なら謎に満ち 眼には見えないのに 植物においても 動物においても 人間においても あまねく清らかなものには 謙虚に 誠実に…