HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*ギャラリー:世界の文学 Ⅰ

* プルースト より ⑵

17世紀オランダの画家フェルメールについてオデットはスワンに訊ねた。 この画家は女性のために苦しんだことがあるのかしら、女性からインスピレーションを与えられたことがあって?... スワンが、実は、わかっていないというと、彼女はフェルメールに興味を…

*ダンテ「神曲」:天国篇 第11歌 より

おお 人間! その純(おぞ)ましさ: - ある者は法学を ある者は医術を追いもとめ - ある者は司祭にならんとす また ある者は詐術に手を伸ばし - はたまた 快楽に酔い 懶惰(らんだ)を貪( むさぼ)る輩もいる・・- わたしは だが それらの塵労からは解かれ ベアト…

* 激しい恋愛:「赤と黒」より

バッソンピエール時代のフランスの英雄的な感情に、恋愛をみてとっていた彼女。...: バッソンピエール(1579-1646)は、元帥にして外交官、ホフマンスタールの短編「バッソンピエール奇譚」でも知られているが、突然、マチルドは上気したのだ。 あたし恋をして…

*プルーストより

ピアノの鍵盤では愛情・情熱・勇気・平静といったキーが他のキーと異なって、作曲家の手にかかると目覚めさせてくれる。 そのように、作曲家ヴァンの楽節には、充実した内実が感ぜられた。 スワンは、いつしか、「クレーヴの奥方」が憶い出していた。 プルー…

*マルロー:「王道」より

「いや違う」とぺルケンは云った。「あっちの女だ」 《サディストかな、この人》とクロードは思った。噂によると、ペルケンはシャム政府の依頼で未帰属部族のもとに派遣されたとか、ビルマ東部のS.高原地方やラオス辺境地方の統合にのりだしたとか、バンコク…

*ジッド「贋金つかい」: -より

劇文学で、ラシーヌの父と子のやり取りほど 感心させられるものはない と作家エドゥアールは云った。 いいかね。芸術は 要するに、普遍的なものなのだよ。・つまり、個別を書きながら 普遍を表現している。 ちょっと 喫煙 よろしいかな。 「どうぞ、遠慮なさ…

*行けよ、ミサは終われり: G.グラース「ブリキの太鼓」より ⑶

三人の少年は 祈禱から始めた。: 赤と白のミサ衣を着たレンヴァントの兄は 香炉を持ち、弟は祭鈴を持っていた。 代理司祭のいでたちをしたコーレンクラウが ミサに必要な品を全部持ってきた。司祭の衣はだぶだふだったが、なかなか 巧く真似ていた。最初は皮…

*ブリキの太鼓 : .グラスより ⑵

・ぼくは 誕生日以降、1センチも生長しなかった。3歳児のままだ。が、賢さは3倍になった。 背は低いが 大人を凌駕していた。 そのころ 政治家にはならない、と決めていた。小さな人と大きな人、ダヴィデとゴリアテ、一寸法師と巨人、いつまでも3歳児であり小…

*ブリキの太鼓 : .グラスより

・ぼくは太鼓にしがみつき 誕生日以降、1センチも生長しなかった。3歳児のままだ。が、賢さは3倍になった。 背は低いが 大人を凌駕していた。 そのころ 政治家にはならない、と決めていた。現状でいいと。小さな人と大きな人、小さな海峡と大きな海峡、ダヴ…

*その日を掴め: ソール・ベローより

「・・友人が綿花について情報を流してくれたよ。勿論、そいつをごっそり買ったさ。電話での買い付けでね。すると 綿花の積み荷が、まだ海にあるうちに三倍に高騰したな。世界の綿花市場がてんやわんやだ。すると この船荷の主は誰かとなった。無論、わたし…

*メルヴィル「白鯨」より

・・鯨の尾びれには測り知れない力が、すへて集結している。この力は尾鰭の優美さを聊かも損なわず、思わず見とれてしまうほど。そのように、真の力は美や調和を損なわない。 全ての美しさには、その魅惑に力と云うものが大きく関与している。 例えば、ヘラ…

*ジョン・バース「酔いどれ草の仲買人」より

詩の末尾に 桂冠詩人 エベニーザーと書いた二行連句の詩篇は、船を追う海豚の群れを眺めては、ミルトンの著作を参考にしながら 眼にするメリーランドのおもかげを描いたものである。: トロイを撃ち破り、帰路のユリシーズ: 纏(まと)いし衣は破れ 西の方へと…

*: ソール・ベローより

「・・友人が綿花について 秘密の情報を流してくれた。勿論、そいつをごっそり買った。電話での買い付けで。すると 綿花の積み荷が、まだ海にあるうちに三倍に高騰し世界の綿花市場が てんやわんやになる。この船荷の荷主は誰かと云うことになった。無論、わ…

*メルヴィル「白鯨」より

・・鯨の尾びれには 測り知れない力が、すへて集結しているかと思えるほどだ。この力は 尾鰭の優美さを 聊かも損なわず、思わず 見とれてしまうほど。 そのように、真の力は 美や調和を損なわない。 全ての美しさには、魅惑に 力と云うものが 大きく関与して…

*「オネーギン」より

諸君、オーデを書きたまえ。国家が隆盛を極めていた時代には、誰もが 頌詩をかいたものだ。 荘重な文体のオーデを?... いや、もう、たくさん・・ 諸君 エレジーなぞは どれも下らんじゃないかね、狙いからして。 それに引き換え、オーデというのは実に、高尚…

*プルーストより

ピアノの鍵盤では愛情・情熱・勇気・平静といったキーが他のキーと異なって、作曲家の手にかかると目覚めさせてくれる。 そのように、作曲家ヴァンの楽節には、充実した内実が感ぜられた。 スワンは幸福を思い、いつしか、「クレーヴの奥方」が憶い出してい…

*ジョン・バース「酔いどれ草の仲買人」より

詩の末尾に桂冠詩人エベニーザーと書き添えた二行連句の詩篇は、航跡に船を追う海豚の群れを眺めては、ミルトンの著作を参考にしながら眼にするメリーランドのおもかげを描いたものである。: トロイアを撃ち破り、帰路のユリシーズ: 纏(まと)いし衣は破れ 西…

*その日を掴め: ソール・ベロー より

「・・友人が綿花について秘密の情報を流してくれたよ。勿論、そいつをごっそり買った。電話での買い付けで。 すると綿花の積み荷が、まだ海にあるうちに三倍に高騰し 世界の綿花市場がてんやわんやさ。この船荷の荷主は誰かと云うことになった。無論、わた…

*ダンテ「神曲」:天国篇 第五歌 より

儚(はかな)きは 誓ひしことか; 戯れに立てた誓いには 信を貫かん 誓いに忠義をたて 非道せしよりは 《われ過(あやま)てり!..〉と 言ふがよく・・ 同じ愚かしさは トロイア遠征のギリシア総大将アガメムノンにも認められる かれは女神アルテミスの苑にて 鹿を…

*ダンテ「神曲」:天国篇 第11歌 より

おお 人間! その純(おぞ)ましさよ: ある者は法学を ある者は医術を追いもとめ ある者は司祭にならんと また ある者は詐術に手を伸ばし はたまた 快楽に酔い 懶惰(らんだ)を貪( むさぼ)る輩もいる・・ わたしは だが それらの塵労からは解かれ ベアトリーチェ…

*噴水:ボードレール「惡の華」より

噴き上げる 水は千々に 花と咲き 月の光に 照らされて 飛沫となりて 落ちゆかん・・ おお 夜の闇に 美しきひとよ この身を傾けん きみが胸 池のほとりに すすり泣く 円かな月よ 噴水よ 夜よ 樹々よ きみが憂わしさに 濁りなく 愛を映し出す 鏡なれ C.P.Baude…

* 「ボヴァリー夫人」より:

最初、彼女は修道女との交際を喜び、よく礼拝堂へ連れていかれ、教理問答は理解していて、司祭の質問によく答えていた。 彼女は祭壇の薫香や聖水盤の冷やかさ、蝋燭の光の神秘さに心地よく微睡み、また苦行のため一日中、何も口にしないこともあった。告解に…

*オタの谷 :モーパッサン「女の一生」より

創造は すべての胚芽を内に含み 花や果実は樹の枝につき生育する 。 思想と生命も また同じ: 創造の懐に抱かれ育っていく 。 * 彼にとって生殖とは、普遍的な自然の大法則に他ならなく、神聖で犯さざるべき崇高な行為なのである。これによって《存在》の不変…

* チェーホフ短編より

「そんな哲学は暖かくオレンジの薫るギリシアででも説くがいい。ここじゃ気候に合わない・・」 「あの奇人哲学者ディオゲネスに書斎や温かい住居は必要なかった。暑いところですから。のんびり樽の中に寝転んでいたという。然し、ロシアに棲むとなれば、そう…

*女の 首飾り: モーパッサン より

「え、なんですって!..あなた、返してくれたじゃない」 「それがね、失くしてしまったのよ。・で、全く同じようなのを返していたの。それで、その支払いに10年かかってしまったわ。わかるでしょう、容易でなかったのが。。余裕なんて なかったのですもの。・…

* 噴水 :ボードレール「惡の華」より

噴き上げる 水は千々の 花と咲き 嬉々として 月の光の 色に染まり しとど 泪の雨のごと 落ちゆかん・・ おお 黒洞々なる 夜の闇に 美しきひとよ きみが胸に この身を傾け 池のほとりに すすり すすりて 泣きやまず されば 円かな月よ さざめく水よ 祝福され…