2023-02-06 *シラーの情熱と苦悩・ *文学・学問・詩: 余滴 Ⅰ 23歳の時、短編小説集「小フリーデマン氏」を上梓し作家生活に入った.トーマス・マン。 26歳の時に、自身の一族の三代にわたる歴史を描き名声を得、そして後に、ノーベル賞受賞作となった初めての長編小説「ブデンブローク家の人々」。 彼の短編小説のひとつに、シラーの若き日の苦悩と芸術的情熱を、同時代のゲーテに比して描いた「悩みのひととき」がある。 * - *- ((( ** いったい、あの男のほうが偉大なのであろうか。 とすれば、どういう点で。何故?...... あの男はおそらく、神と言っていいのであろう。 器用な手さばきで、認識と創造とを切り離して、泉のごとく多産な男。 嗚呼。神のごとく作品を生み出していく澄みきった世界に入っていければ。 だが、それとは異なる。自分は無から創造するからだ。 魂の中から生まれてくるものを、純粋な原像として描く。 歴史、哲学、情熱という手段を借りて。 艱難への意志。内的芸術への衝動。 そこから思想へ、心象へ、言語へと至る道程。 それには 何という力闘と苦悩か。 神のごとく作品を産出する あの男の世界に入っていけたら。 だが、自分の道と方法で働くのにしくはない。 成就するのだ。自己を高め、光明へとのぼっていくのだ。 かくして、シラーの苦心は 様々な芸術作品として 成就していったのである。 zB.「群盗」 「ドン・カルロス」 「たくらみと恋」 「ヴァレンシュタイン三部作」 「オルレアンの乙女」 「ヴィルヘルム・テル」 usw..など。 バラードでは「イビクスの鶴」など。 因みに、ゲーテが1749年生まれ、 シラーは10年後の1759年、 物故したのが ゲーテが1832年で享年83歳、 シラーは1805年で27年も早く、享年44歳の若さであった。