HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

* おしなべて 太陽が純金と・:「ファウスト」第二部より

     ・4728~5064 :

この箇所は対話形式の韻文で書かれ、4-5の揚音・強音が自由に、あるいは、相互に繰り返されていく。

      4955~ : 皇帝の 玉座の間:

天文博士:Astrolog:    メフィストフェレスも小声で同じ言葉を繰り返している。:

     おしなべて 太陽が 純金と いたしますれば 

 水星 メルクーアは その使い役にて 寵愛と給金を 当てに 働き、

  金星夫人  ヴェーヌスは 誰彼となく周りのものを惑わし  

  朝な夕な 色目を送って いるのでございます。    

また  月 ルナは  まだ 情けの知らぬ 我儘な小娘でして、

 軍神の火星マルスは その威力で脅かしますが  

 木星  ジュピターは それは美しいものでございます。 

ですが 土星  ザトゥルンは めちゃくちゃ でかいとは申せ 遠くに見えますゆゑ          小さいものでして 目方は重くも値打ちは軽いのと同様なのでございます。

ですから 太陽神ゾルに   月姫 ルナが寄り添ゑば 金と銀とが並びますゆゑ 

世界は この上なく明るく陽気になり、  こうなりますと

 手に入らぬものはありますまい      

        * 4971 ~:       Kaiser :  皇帝

 なにやら 言葉が二度づつ聞こえてくるが

・その場に居合わせた者の呟き:Gemurmel

    それがどうっていうの。 戯言に黴がついたようね 

  まるで 暦売りの口上か 錬金術師の口真似そっくり。 

これまで何度 聞かされたことか そして そのたびに騙され

きっと また まやかし者に違いないわ。  

 

 

Die Sonne selbst, sie ist ein lautres Gold,

Merkur, der Bote, dient um Gunst und Sold,

Frau Venus hat's euch allen angethan.

So fruh als spat blickt sie euch lieblich an;

Die keusche Luna launet grillenhaft,

Mars, trifft er nicht , so draut euch seine Kraft.

Und Jupiter bleibt doch der schonste Schein,. 

       ~4961..