クララは1644年生まれ。わが国でいえば江戸時代の前期、近世文学期にあたり、芭蕉が生まれた年と重なる。また、「好色一代男」の戯作者・西鶴はそれより2年前に生まれているが、それはともかく、クララはバイエルンやウイーンで説教をおこない、当時はペストが猛威を振るい、死の恐怖を和らげ救いたいと説教を行ったのである。 ** ))
おお 耳傾けよ 嘆きの言葉に!... 至るところから 叫びが聞こえてくる
だが 人は皆 死ぬが定め これは恐らくではない 確実なのだ
春のあとに 夏が来るように 金曜のあとに 土曜がくように
三の次には 四がくるように 花の盛りの後には 実りがくるように
謝肉祭のあとには 四旬節がくるように ・・そう これが定めなのだ:
とはつまり 生あるものは 死ぬが定め :
これから遁れうる者は 誰もいない・・ **
* 四旬節とは、復活祭前の40日間の断食節を言う。
詩人サンタ・クララは享年65歳。芭蕉は50歳、西鶴は51歳であった。
なお、17世紀のこの時期には、「失楽園」1667で知られるミルトンや、「パンセ」1670で知られるパスカルが活躍した時期でもある。
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ドイツバロック詩人クララは、17世紀に活躍した閨秀詩人。若くして修道院に入り、神に仕えることを決めた彼女は 宗教的な主題を中心に、情熱的で美しい詩を書いた。詩は、当時の社会や文化に対する批判や反響も含んでいる。
代表作は、「神の愛の歌」や「魂の花園」など。「魂の花園」では、自分の魂を花園に例えて、神との関係を描く。花園に咲く様々な花や果実を用いて、神への信仰や愛や喜びを歌う。
有名な詩としては、以下のようなものがある 。
- 「美しき夜明け」:神と自分の魂が一体となる瞬間を描く。
- 「聖なる夜」:キリスト降誕を祝う。
- 「天国への階段」:死後に神と再会することを願う。
- 「永遠の愛」:神への絶対的な愛を誓う詩。
クララは神に仕えることを決めた修道女で、自由な精神と才能を持った詩人でもあった。宗教的な主題を中心に、情熱的で美しい詩を書いたが、単なる信仰の表現ではなく、自分の内面や感受性を素直に表した。当時の社会や文化に対する批判や反響も含んでおり、詩を出版することはなかった。
クララは神への信仰を貫きながらも、自分の個性や感性を抑えることなく、独自の詩風を確立し、また、修道院で隔絶された生活を送りながらも、詩や手紙を通じて外界と交流し、自分の心を豊かにしていたのである。