HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

2023-01-01から1年間の記事一覧

*「安土往還記」:辻邦生より

京都で明智殿の謀反を知ったのは、翌々日、噂によれば、明智殿は 愛宕へ参籠していたが、自分への共感から 遁れたいと念じていたのだ。 そして ひたすら 甘美な眠りの中に いたかったのだ。 しかし 大殿は近侍わずか30騎 安土を出て、本能寺へむかっていた。…

*孔子と子路: 中島敦の「弟子」より

「山月記」などで知られる中島敦は33歳という若さで夭折しているが、彼の作品は漢文調で書かれ、そのリズムは簡明であり魅力に富む。 書き残した数は少ないが、そんな中の一つに「弟子」という短編があり、これは顔回や子貢といった孔子の高弟のひとり、子路…