HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*ダンテ「神曲」:天国篇 第11歌 より

おお 人間!  その純(おぞ)ましさよ:   

ある者は法学を ある者は医術を追いもとめ 

ある者は司祭にならんと また ある者は詐術に手を伸ばし

はたまた 快楽に酔い 懶惰(らんだ)を貪( むさぼ)る輩もいる・・

わたしは だが それらの塵労からは解かれ 

ベアトリーチェに案内され 天を目指した そして

霊の光が戻ってくると おのれを定着させた すると

話しかけてきたトマス・アクィナスの零体から かく語るを耳にしたのだ。: 

 

輝きは増し 永遠の光を見つめていると 汝が思ひは判る だが

きみは言葉を解せず戸惑うや 分かり易くと願った・・

さても 天使であれ 人間であれ 造られた神の摂理は 

なぜに捨て賜う と呼ばわるイエスのために

二人の権能者を選び 左右に配し 道しるべに 定められたのだ。

一人は 天使で最高位階の 愛のセラフィムを想起させ、

もう一人は知恵深く 知に輝く天使ケルビムを想起させる

  聖フランチェスコであった・・

        *ダンテ「神曲」天国篇 第11歌より