HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*ダンテ「神曲」:天国篇 第五歌 より

 儚(はかな)きは 誓ひしことか;

 戯れに立てた誓いには 信を貫かん 

誓いに忠義をたて 非道せしよりは 

《われ過(あやま)てり!..〉と 言ふがよく・・

 

同じ愚かしさは トロイア遠征のギリシア総大将アガメムノンにも認められる 

かれは女神アルテミスの苑にて 鹿を殺し 女神の怒りにふれ 

ギリシア軍に 疫病が蔓延 海上は無風

タウリスに集結した海軍も トロイアへの船は進めず

怒りを宥(なだ)めるため アガメムノンは 預言者に従い

その年に生まれた最も美しき みずからの娘イフィゲネイアを捧げた

イフィゲネイアは 眉目(みめ)麗しきを 泣き悲しみ 

人身御供を聞き 民は 佳人の薄命に泪したのだ

   *Dante  「神曲」天国篇 第五歌 より