2022-09-19 *ダンテ「神曲」:天国篇 第五歌 より *ギャラリー:世界の文学 Ⅰ 儚(はかな)きは 誓ひしことか; 戯れに立てた誓いには 信を貫かん 誓いに忠義をたて 非道せしよりは 《われ過(あやま)てり!..〉と 言ふがよく・・ 同じ愚かしさは トロイア遠征のギリシア総大将アガメムノンにも認められる かれは女神アルテミスの苑にて 鹿を殺し 女神の怒りにふれ ギリシア軍に 疫病が蔓延 海上は無風 タウリスに集結した海軍も トロイアへの船は進めず 怒りを宥(なだ)めるため アガメムノンは 預言者に従い その年に生まれた最も美しき みずからの娘イフィゲネイアを捧げた イフィゲネイアは 眉目(みめ)麗しきを 泣き悲しみ 人身御供を聞き 民は 佳人の薄命に泪したのだ *Dante 「神曲」天国篇 第五歌 より