HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*:ホフマンスタールより  

         侯爵夫人: 

  なぜ腹が立つのかしら、世の常なのに、

  わたしにも 娘時代があった、でも 修道院から結婚生活に すぐ、

でも どうして、昔は可愛かった 

 なのに   いつの間にか もうお婆さん、・・

どうして 神さま どうして わたしは ずっと 変わらないのに 

たとえ 変わるが定めでも なぜ こんなに 見せつけられ

 なぜ 隠してくれないの・・ わからない 

 でも 耐えるのが 人の定めね・・

  道は さまざまだけど・・

 

 *侯爵夫人は、従弟の青年貴族オクタヴィアンと愛人関係になり、一夜を共にする。が、婚約の使者として薔薇を渡しに行くと、オクタヴィアンは 若いゾフィーにひとめ惚れしてしまう。

   *

あら また来たのね。 Ach  du bist wieder da !..

 いいの もう おしまいね いつものこと

 楽しくて 悲しくて  自分でも 抑えきれない でも 自分に言い聞かせたわ

 逆らいようもなく いいえ たとえ 逆らっても・・

もう やめて そんなに きつく抱くのは

 

オクタヴィアン: 

きみは ぼくのものだ 

夫人 : 

だめ よして  うちの元帥や 従弟オックスの・・

だめ    真似は よして 

オクタヴィアン: 

 知るもんか きみは僕の恋人なのだ!.. もう 離すものか 

侯爵夫人: 

許して 時の流れには 勝てないわ  女ですもの・・

 

   * Der  Rosen-Kavalier ; Hoffmannsthal 

    「薔薇の騎士」より

 

 ・婚約の申し込みに使者が薔薇を渡しに行く。それが薔薇の騎士である。

 これは1740年代のウイーンの貴族の恋愛がテーマの、リヒャルト・シュトラウス作曲による三幕もののコメディである。