・ぼくは 誕生日以降、1センチも生長しなかった。3歳児のままだ。が、賢さは3倍になった。 背は低いが 大人を凌駕していた。 そのころ 政治家にはならない、と決めていた。小さな人と大きな人、ダヴィデとゴリアテ、一寸法師と巨人、いつまでも3歳児であり小人であり、背の伸びないまま。--->> が、いくらか生長はしていた。しかし、いつまでも 3歳児のブリキの太鼓奏者に驚いているはずもない。 ギュンター・グラス「ブリキの太鼓」第一部より ** )))
*ギュンター・グラースはドイツの現代作家で、「ブリキの太鼓」は三歳で生長の止まった太鼓奏者の話。この小説は単なるファンタジーではない。 グラースは第二次世界大戦とナチスの時代を背景に、ドイツの歴史とアイデンティティについて深く掘り下げていく。 彼の作品は社会批判的であり、政治的なメッセージを含み 自身も戦争に参加した経験を持ち、後年になって告白した。 グラースは現代ドイツ文学の巨匠であり、ノーベル文学賞を受賞している。。。