HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*わたしは世界が明けるのを見た;「仔羊の回帰線」序 より

        

黄金に輝く微笑みのなか 世界が明けるのを見た

その世界は 深い秩序ある映像として鮮明になり 

戯れているように形作られてゆき 平生なら謎に満ち 眼には見えないのに

植物においても 動物においても 人間においても

あまねく清らかなものには 謙虚に 誠実に顕れたのである))))

けれども それは恵み深い本質の意義で おだやかに 

無辜の子のように示されたのだが 自然界は天上の癒しの光の中で 

恩寵により 峻厳に救済されていることを  しめしていたのだ ))

労働のあとの七日目には 自由の日が 律法によって 用意された・・

そして人は敬虔に生長し 初めは孤独だったが 次には 仲間も加わり 

やがて 予感に満ち 人間に絆が 生まれてくると

竟には 精神が浄化され 朝陽に照らされると ともに 手を携え 

まだ 朦朧と霞む世界ではあったが やがて その望まれた人生は

厳しさの中で  高められていくのであった  ......       訳: 夏目 政廣 

           E.ランゲッサー「仔羊の回帰線」 序 より

Aus; E.Langgasser  Gedichte         Der Wendekreis des Lammes

               Ein Hymnus der Erlosung   Claassen Vlg. 1959 ebd. S. 23...

 

                

 

 

*「語り得ないことに関して、人は 沈黙していなければ ならない」:

 

           文学史家、K.ロートマンの著から:

オーストリアはウィーン生まれのヴィトゲンシュタイン1889-1951は、生涯にわたって言語による表現記述の可能性と限界を思考した著名な哲学者だが、<語りうるもの>の領域、zB.自然科学などは、はっきりと語り、<語り得ないもの>の存在と重みを示したことで知られている。 

 ヴィトゲンシュタインは云う。:「言葉は、事実をモデルとして描くことは可能だが、それを解明することは不可能である。」  とはつまり、「さまざまな事実によって決定されている世界では、論理的に空間のなかにある事実こそ世界である。」と、<事実>の重要性を強調して、恣意的な観念構築の近代哲学の、とはつまり、カント以来の観念論、並びに、ヘーゲル観念体系を云うのだが、根本的欠陥を衝いたのであった。そして、彼は次のように云うのである。 即ち、                  「わたしの言葉の限界は、わたしの世界の限界を意味しているのだ。」Die Grenzen meiner Sprache  bedeuten die Grenzen meiner Welt..

それ故、「語り得ないことに関しては、ひとは沈黙していなければならない・」というのである。  Wovon man nicht sprechen kann,  darüber muss man schweigen..    

    Aus: K. Rothmann, Dt.  sprachige Schriftsteller   seit 1945.  Reclam