・西洋の現代文学に関して:--
世界をラジカルに懐疑し信じられないという立場の代表が、フランスの実存主義の作家、例えばサルトルとカミユならば、ドイツ文学圏のカフカは世界観はこれに近いが、異なるのはいかにしたら打開できるか問うところである。:
前者は、もし頼れるものがあるとすれば、それは一個の自己のみと主張するゆえ、そこには孤独が見え隠れするのだが、カフカには魂の救済願望があり永遠の秩序を問いかける。それゆえ、神からの呼びかけを必死になって捉えようとする。が、上からの声はいまだに届かずじまいなである。。
このことをカフカは長編「城」Das Schlossで麓(ふもと)にまでは辿り着けたものの決して城には入り込めない主人公をして象徴的に描いているのである。
Aus: W. Grenzmann , Dichtung und Glaube
Probleme und Gestalten der dt. Gegenwarts-
Literatur S.29ff..
Athenäum Vlg. 1967...
W. グレンツマン「文学と信仰」より