HERR*SOMMER-夏目

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*ホフマンスタールとバッソンピエール元帥の冒険:より

バッソンピエール元帥の冒険:

 フーゴ・フォン・ホーフマンスタールによる短編小説『バッソンピエール元帥の冒険』は、ゲーテが『ドイツ移民の談話』に挿話として収めたフランソワ・ド・バッソンピエールの回想録をホーフマンスタールが翻案し、1900年の秋にウィーンの週刊誌『ディー・ツァイト』に掲載された。。。

物語の舞台はペストが流行する近世のパリで、放蕩家として名を馳せたバッソンピエール元帥の若き日々を描いたもので、幻想的で不吉な影、当時の暗く神秘的な雰囲気へと誘う。

 バッソンピエールの視点から語られるこの物語は、彼の愛と欲望、そして運命に対する洞察を鮮やかに描き出している。。。

 この作品は、ホーフマンスタールの数少ない小説作品の一つで、劇作家としての多作とは対照的な一面を見せ、物語の筆致は暗示的。想像力を刺激する力を示している。。

物語は歴史的背景を取り入れ、ペストが蔓延するパリという設定は、人間の生と死、そして社会の脆弱性を象徴し、このような状況下でのバッソンピエールの行動は、人間が極限状態に置かれたときの心理や倫理を掘り下げることにもつながっている。。。

また、ホーフマンスタールの筆致は暗示的なもので、物語のテーマ性は想像力に委ねられ、これにより、物語は単なる歴史的再現を超え、普遍的な人間の経験と感情に訴えかけているのである。。。

 『バッソンピエール元帥の冒険』は、実在の人物であるフランソワ・ド・バッソンピエールに基づく。

彼は17世紀初頭のフランスの元帥で、放蕩家としても知られ、彼の回想録を基に、フーゴ・フォン・ホーフマンスタールが翻案した。。。

ゲーテが『ドイツ移民の談話』に挿話として収めたバッソンピエールの回想録の抄訳をホーフマンスタールが独自の解釈を加えて小説化したもの。。。

 ホーフマンスタールは、ウィーン世紀末文化を代表する詩人、小説家、劇作家で代表作は、以下の作品がある。。

1. 『チャンドス卿の手紙』(1902年) - 芸術家の精神的危機を描いた近代批評の先駆的作品。
2. 『薔薇の騎士』(1911年) - リヒャルト・シュトラウスとの協力によるオペラで、愛と忠誠がテーマ。
3. 『イェーダーマン』(1911年) - 中世宗教劇を現代的に翻案した作品。

・他に、「痴人と死霊」Der Tor und der Tod 韻文劇 usw.

これらの作品は、ホーフマンスタールの洗練された美意識と、文学と音楽の融合を特徴とし、当時の社会や文化に深い洞察と、人間の内面世界への鋭い視点を提供した。。