*レッシング「エミリア・ガロッティ」:---
・レッシングの「エミリア・ガロッティ」は、ドイツ啓蒙主義機の重要な作品で、市民悲劇のジャンルを確立した作品であり、1772年に初演されたこの劇は、横暴な領主の邪恋を退け、最終的には自らの手で命を絶つ娘エミリアの物語である。----
レッシングは、フランス古典主義からの解放を目指し、ドイツ文学の新たな方向性を示した戯曲作家で、後のドイツ近代劇に大きな影響を与え、特にシラーの「たくらみと恋」に影響を与え、社会的な問題を取り上げ、人間性と理性を重んじる啓蒙思想を反映している。。。
「エミリア・ガロッティ」は、レッシングがドイツ文学史上屈指の激しい宗教論争を巻き起こした時期に書かれ、彼の代表作「賢者ナータン」Nathan der Weise の上演のきっかけを作るなど、レッシングの文学的・思想的活動において重要な役割を果たした。
・悲劇「エミリア・ガロッティ」は、市民階級の娘エミリアと彼女を取り巻く人々の悲劇で、グァスタッラの公爵がエミリアに一目惚れするところから始まり、エミリアはアッピアーニ伯爵との結婚を控えており、公爵は彼女の結婚を阻止しようとし、結婚式の朝、教会で祈りを捧げるエミリアに公爵は愛の言葉を囁くが、エミリアはこれを拒絶する。。。
すると公爵は侍従に命じて、エミリアの婚礼を阻止させようとするが、計画は失敗に終わる。
エミリアの父親は、娘が公爵の欲望の犠牲になることを恐れ、最終的には娘の願いにより、彼女を殺害。この行為は、娘の純潔を守るためであり、同時に公爵の邪悪な計画を阻止するためでもあった。。。
「エミリア・ガロッティ」は、市民階級の道徳と価値観を描き、個人の自由と社会的制約の間の葛藤を浮き彫りにすることで、市民悲劇のジャンルを確立。
レッシングはこの作品を通じて、人間性と理性を重んじる啓蒙思想を反映させ、ドイツ近代劇の先駆けとなる。。。 *******
附:----レッシングの代表作「賢者ナータン」は、宗教的寛容と理性をテーマにした劇詩で、異なる宗教間の対話と理解を促進する内容で、また、「ミンナ・フォン・バルンヘルム」は、七年戦争後のドイツ社会を背景にした喜劇で、愛国心と個人の幸福を巡る葛藤を描いている。
他には、「ミス・サラ・サンプソン」があり、ドイツにおける市民悲劇の先駆けで、家族間の愛と裏切りを描き、「ラオコオン」は、絵画美術と文学の限界についての論文で、空間芸術と時間芸術の違いに触れた試論である。。。
レッシングは、劇作家としてだけでなく、批評家や哲学者としても活動し、「ハンブルク演劇論」では演劇の理論と批評を展開、ドイツ演劇の発展に寄与した。
また、「人類の教育」では、啓蒙思想に基づく教育の理念を説いている。。。>>>