「死後に埋葬されたいところは、どんなところでしょう・・」と訊かれると、
「野原の真ん中でよかろう」
「えっ!..なんですって?..」
「鳥や野獣の餌食になってしまうではありませんか・・」
「ならば、傍らにステッキでも置いておくがよかろう。・・」
「どういうことでしょうか?..」
「それさえあれば、追い払うことができる、何が来ようと、野獣が来ようと」
「追い払う?..どのように?.. 死んでいて、感覚もないのに・・」
「ならば、わしの死骸が鳥や獣に食べられようと、痛くも痒くもないではないか」
H. von Kleist: Diogenes
Samtliche Werke, Hanser Verlag. ebd. S.284f... Kleist 奇譚集より
ディオゲネスは「著名な哲学者たちの生活と意見」という奇書の著者として有名。これは10巻よりなり、真偽かまわず、逸話や名文句を収集した。